2023 Fiscal Year Annual Research Report
A geographical study on the recognition to the Location Normalization Plan from local municipalities
Project/Area Number |
20K01165
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
箸本 健二 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10269607)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立地適正化計画 / 地方都市 / 都市計画 / 郊外開発 / 空き不動産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年3月末現在で立地適正化計画を作成・公表している504自治体について、公表されている計画を精査した。また中心市街地の空きビル・空き店舗の利活用や、中心市街地のダウンサイジング型再開発に注目し、取り組み地域でのヒアリング調査を実施した。その結果、以下のような点が判明した。 (1)立地適正化計画実現の誘導施策としては、1)移住定住・空き家対策、2)空き地・空き家など既存ストックの利活用、3)公共交通の再編、4)誘導区域内の公有地の利活用が全体の8割を越す自治体で採用されている。その反面、市街化調整区域を持つ363自治体の中で、都市計画法34条11項に基づく開発許可条例の制限に言及する16自治体に過ぎず、大多数の自治体が開発許可条例を通じた市街化調整区域の蚕食的開発を事実上容認している。 (2)都市の「スポンジ化」対策では、1)空き店舗情報のデータベース化、2) リノベーションによる既存住宅の再生支援、3)商業施設・集客施設・生活利便施設の立地支援の採用比率が高く、空き家・空き店舗の利活用が喫緊の課題とされている。 (3)長崎市における現地調査では、築年数が長いが、家賃が安く、アクセス性や知名度に優れた出島地区、江戸町地区の古い雑居ビルを、アトリエ、展示スペース、教室、店舗などに利用するアーティスト、古書店が集積している。都市のスポンジ化を食い止めるために、彼ら自身のネットワークを育む一方で、貸し手の側の同業種集積形成への関心を高めることが必要である。 (4)諫早市における現地調査では、中心市街地を拡大せず、車で10分の範囲を足元商圏と定義し、この範囲のニーズに対応する「生鮮市場」や「レストラン」を、大型店あるいは銀行の撤退跡地に展開している。また、機能性が低いまちづくり会社を清算し、まちづくりの実務を若手経営者に継承するなど、積極的な世代交代を図っている。
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