2022 Fiscal Year Annual Research Report
An interdisciplinary study of geographic information ethics for the digital mapping generation
Project/Area Number |
20K01173
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 晃志郎 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (90448655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 宣次 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50422910)
板垣 勝彦 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50451761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地理的自警主義 / 地理空間的スティグマ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、これまでの隣接分野との対話を踏まえ、事故物件サイト「大島てる」や官報に掲載された破産者情報を地図化した「破産者マップ」を例に、ウェブ時代のプライバシー曝露において最も深刻なプライバシーへの脅威がユニークな経緯度情報の暴露へと変容していることを指摘し、ゴッフマンのスティグマ理論を下敷きにした「地理空間的スティグマ化(Geospatial stigmatization)」の概念を新たに提唱した。この成果はSpringerが刊行された書籍 Ubiquitous Mapping: Perspectives from Japanに採録された。 インターネットの通信技術の向上は、上記のような新たな脅威をもたらす一方、ネット空間で人々のさらなる民主的な協働を促す参加型GISの思潮を世界的な社会運動へと高めつつある。とくに、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックは、一面においてプログラミング技術を持つ市民により続々とアップロードされたCOVID-19感染対策ダッシュボードを通じて、参加型GISの新しい可能性を拓く歴史的なイベントともなった。代表者はこうした状況を踏まえつつ、その営みがすべからく従前の世界的な経済的・社会的格差に裏づけられた地域的な偏りによってもたらされていることを指摘し、これをウェブ時代の南北問題と位置づける論文を発表、同論文はSpringerが刊行する査読付き国際誌SN Computer Science誌上に掲載された。 研究期間を通じて世界を席巻したCOVID-19は代用者と分担者の相互交流を著しく妨げ、各人それぞれが個別の領域で研究を蓄積させることを中心とせざるを得ない状況をもたらした。しかし最終的には、ぞれぞれの分野で見るべき成果をあげることができたものと考える。
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