2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the Campaign for Emigration to Manchuria from Japan: The Role of Training Facilities
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20K01179
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Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
松山 薫 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70337244)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 満州開拓 / 日輪兵舎 / 満蒙開拓青少年義勇軍 / 歴史地理学 / 人文地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昭和戦時期に国策化した満州移民は,当該時期の国内外の政治経済に重大な局面をもたらした人口移動である。本研究は,国策浸透過程に少なからぬ影響を及ぼしたと考えられる,開拓者訓練施設の設置状況や伝播の経緯を明らかにし,このような政策が遂行された背景を実証的に検証することを目的としている。とりわけ「日輪兵舎」とよばれる様式の訓練用建築物の全国的伝播過程に着目し,①満蒙開拓青少年義勇軍制度が生み出した独自の訓練施設用建築様式である「日輪兵舎」様式の建物の全国的分布状況を調査しデータベース化する。②作成したデータベースより,高い象徴性をそなえた同様式の建物がどのように表象され,また実際に使用されていたかを,同時代資料や戦後の二次資料から分析する。③上記①および②の結果より,満州への送出数や送出過程の地域性と,同様式の建物の分布状況との関連を考察する。以上を通して,「日輪兵舎」様式の建物の全国的な分布とその伝播過程というフィルターを通して,満州移民制度の浸透過程を明らかにする。これは,従来の満州移民送出や研究に欠けていた,移民訓練施設やその建物といった,ハード面からの政策過程の解明に寄与するものである。 2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,県外における現地調査を全て自粛したが,図書館等を利用した資料収集や遠隔会議システムなどを用いた聞き取り調査を実施し,研究を進捗させた。具体的には,2002年から構築してきた各地の「日輪兵舎」の実在事例の収集,確認を進め,数件の新規事例の追加をみた結果,把握数は100件に達した。また,「日輪兵舎」を生み出した満蒙開拓青少年義勇軍制度と同一線上にある政策のもとで運営された農民道場における,「日輪兵舎」の建造状況を論文として公表した。そのほか,本テーマに関連するテレビ番組に取材協力し,研究成果の社会還元に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国各地の「日輪兵舎」を有した各種訓練施設について,戦時中の同時代資料や戦後の二次資料の新たな収集や,既に収集した文献の整理により,所在地,建築年代,建築主体,建物の用途等の項目からなるデータベースを構築中であるが,現地に赴けばより確定的な一次資料の発掘が見込まれる数件の事例について,現地調査を計画していた。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,遠隔地での資料収集や現地調査が困難となった。 かかる状況のもとで,現地調査の代替手段として,県外の図書館のレファレンスサービス,所属大学の図書館で利用できるデータベースや相互貸借・文献複写サービス等を最大限利用し,資料収集を進めた。また,遠隔会議システムなどを用いた聞き取り調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に示した①のデータベースの構築は,2020年度に引き続きレファレンスサービスや遠隔会議システムなどの遠隔サービスを利用して進める。仮に感染症の影響が沈静化した場合は,県外の現地調査を開始し,遅れを取り戻すべく努める。 また,研究実績の概要の②に示した,「日輪兵舎」の表象性についての考察は,手持ちの資料でもかなり遂行できるので,①と並行して行う。
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Causes of Carryover |
全国各地の「日輪兵舎」を有した各種訓練施設について,戦時中の同時代資料や戦後の二次資料の新たな収集や,既に収集した文献の整理により,所在地,建築年代,建築主体,建物の用途等の項目からなるデータベースを構築中であるが,現地に赴けばより確定的な一次資料の発掘が見込まれる数件の事例について,現地調査を計画していた。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,遠隔地での資料収集や現地調査が困難となった。また,物品の購入に際しても,高額なものは県外に赴き専門店で助言を受けて購入する予定であったが,それは2021年度に行うこととした。 かかる状況のもとで,2020年度は現地調査の代替手段として,県外の図書館のレファレンスサービス,所属大学の図書館で利用できるデータベースや相互貸借・文献複写サービス等を最大限利用し,資料収集を進めた。また,遠隔会議システムなどを用いた聞き取り調査を行った。2021年度も同様の方法で研究を進め,新型コロナウイルス感染症拡大が沈静化した場合は,当初予定していた現地調査を開始する。
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Research Products
(1 results)