2022 Fiscal Year Research-status Report
バンクーバー大都市圏の日本人ガーディナー:技術革新にともなう庭園・造園業の展開
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20K01181
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河原 典史 立命館大学, 文学部, 教授 (60278489)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カナダ / ガーディナー / 新渡戸庭園 / 庭園請負業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果の1つは、1960年にバンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学に造園された新渡戸庭園をめぐる資料を収集・整理である。図版41枚・古写真179枚を収めた資料集『ブリティッシュ・コロンビア大学 新渡戸稲造記念庭園』(A4縦・189頁)を作製した。古写真のなかには、1959年の作庭において鳥取県出身の角知道をはじめとする日本人ガーディナーや、彼らを指示する千葉大学教授・森勘之助の様子も写されている。背景の池に眼を移すと、岸には大きな石が並べられている。現在では水際まで芝生が敷き詰められており、大きく印象が異なる。これは1994年に桝野俊明(現・多摩美術大学教授)の意匠によって大規模な改築が行われたからである。このように本研究によって明らかになった諸点、そして資料集の分析を深めると、1930年代に作庭された旧・新渡戸庭園、1960年代の新・新渡戸庭園、そして1990年代に改築された現・新渡戸庭園、すなわち3代に渡る新渡戸庭園の変遷が明らかになる。 2つ目の研究成果は、20 世紀初頭のバンクーバーにおける日本人ガーディナーの諸相について明らかにしたことである。当時、白人宅での家内労働における雑用の 1 つとして、料理とともに庭仕事があった。そのため,先に白人宅での家内労働に就いていた中国人と同様、その労働はあくまでも成功への前段階とされてきた。そのようななか、富豪のアーネスト・エヴァンス(Ernest Evans)邸の園丁長であった広島県出身の角佐六と京都市出身の山本宣治は,多くの日本人ガーディナーを雇用し、特定のガーディナーを常時雇用することのない白人邸宅を週に 1、2 日ほど巡回するという庭園請負業を試みた。当時のバンクーバーでは組織化された日本人ガーディナーの活躍が萌芽していたのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に引き続き、2022年度もコロナ禍のためにカナダでの調査が不可能であった。そのため、第二次世界大戦後におけるガーディナーの活動に関わる新しい資料の発見・収集や、日本人ガーディナーへの聞き取り調査ができなかった。したがって、前年度に引き続いて戦前の史資料の再検討を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、ようやくカナダでの調査を再開する。バンクーバー日系ガーディナーズ協会の会員、とくにシニア層からのインタビュー調査を実施する。そのとき、彼らが所有している顧客名簿や作業日誌などの縦覧を行なう。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による国外の調査が困難であったため、旅費の執行ができなかった。そのため残額が生じ、次年度への繰越金が発生した。2023年度以降では、カナダへの調査を再開するので、国内調査とともに計画的に研究を進めたい。
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