2022 Fiscal Year Research-status Report
ケニアの聾/聴者の相互行為態に関するヴィジュアル・メソッドを用いた民族誌的研究
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20K01189
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 優貴 (古川優貴) 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (60737063)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フィールドワーク / オンライン/オンサイト調査 / 身体相互行為 / 音楽経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィールドワークの実施がまだ困難な状況にあったため、資料収集と口頭発表という形での発信をおこなった。口頭発表のうち一つは、これまでの調査研究の蓄積に基づき、ケニアの聾児のダンスを例に「五感を包摂する音楽経験」というタイトルで発表した。その中で、ケニアの聾児の躍りを議論の出発点にしつつ、聴者も経験できる、聴覚に必ずしも依存しない音楽的事象を紹介した。そのうえで、音楽経験を、アリストテレス以来の五感概念に基づいて捉えるのではなく、五感を包摂する経験として捉え直すことを試みた。 もう一つは、異分野の研究者たちと改めて「フィールドワーク」という営みについて考える企画で発表をおこなった。霊長類学、言語学、歴史学の研究者とともに、それぞれのフィールドワークのあり方を紹介しつつ、他分野の調査研究方法を自分の研究に部分的に取り入れる可能性を模索した。人類学の立場である私からは、(1)フィールドワークは一般化できる営みではなく、その人でないとできない(成り立たない)営みになるということ、(2)フィールドワークでは新たにどんな課題を見つけられるかが重要であること、(3)身体相互行為を「記録」するにあたり、ビデオカメラや動画注釈アプリELAN等を使えば使うほど、フィールドの調査協力者のみならず調査者である自分の「生」から遠ざかってしまうジレンマ、(4)ケニア国立公文書館で収集した資料の整理法について他分野(特に歴史学)から助言を求める、ということをおこなった。この研究会1回で結論が出る課題ではなく、今後も深めていきたいと考えている。 また、ろう者の音楽をテーマにしたアート・ドキュメンタリー映画『LISTEN リッスン』上映から5年を経て、それにさまざまな形で関わった人たちが論考やコラム等を寄せた一般書『『LISTEN リッスン』の彼方に』に、コラムを寄稿し、2023年5月に論創社から刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍等によりケニアでのオンサイト・フィールドワークが困難であり、またオンラインでのフィールドワークでは身体相互行為に関する「参与観察」は難しく、実現に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間研究を延長し、オンライン/オンサイトのフィールドワークを企図し、準備を進めている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりケニアでの現地調査が困難だったため、渡航費の支出がなかったほか、現地で使用を予定していた機材の購入を控えざるを得なかった。
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Research Products
(4 results)