2022 Fiscal Year Research-status Report
Inter-island Networking of the Pukapuka Atoll Communities: A Study by Multi-sited Approach
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20K01190
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
深山 直子 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (90588451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚橋 訓 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50217098)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クック諸島・プカプカ環礁 / NZ・オークランド / 移民コミュニティ / 社会組織 / インターアイランド・ネットワーク / レジリエンス / 土地 / 資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、クック諸島・ラロトンガ島とNZ・オークランドにおける、2つのプカプカ人移民コミュニティを分析対象としている。両コミュニティと故郷のプカプカ環礁社会が、文化再活性化プロジェクトと環礁の災害復興支援という出来事において協働する実態を描き出すことを通じて、リスク社会におけるレジリエンスの所在としてのインターアイランド・ネットワークを考察することを、その目的としている。 COVID-19問題により、2020年度、2021年度は海外渡航が不可能であったため、先行研究のレビュー、以前の現地調査にて収集したデータの検討、新聞記事およびインターネット上のデータの分析を主に行った。今年度はそれらの結果を踏まえて、プカプカ環礁における社会組織の可変性および土地や資源の利用・管理形態の柔軟性について、他の環礁社会の事例とも比較しながら、さらに議論を深めた。その成果は、すでに学会等で発表をしているが、報告書・書籍の出版に向けた執筆活動にも取りかかっている。 また、2022年8月には、代表者および分担者がラロトンガ島を訪れ、クック諸島政府からの調査許可証の延長申請をし、さらにラロトンガ島のコミュニティ組織に関して、最新かつ基本的な情報を得た。また2023年3月には、代表者がオークランドを訪れ、オークランドのコミュニティにおける2つに分化した組織に関して、それぞれに最新かつ基本的な情報を得た。双方の地域において指導者と協議を行い、COVID-19問題の状況が許せば、2023年度にフィールドワークを開始することについて内諾を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、クック諸島・ラロトンガ島とNZ・オークランドのプカプカ人移民コミュニティを対象とした、マルチサイテッド・フィールドワークを実施する計画であった。しかしながらCOVID-19問題により、2020年度、2021年度は海外渡航が不可能で、フィールドワークが実施できなかった。2022年度に入り、ようやく8月に代表者および分担者がラロトンガ島、3月に代表者がオークランドを訪問することができた。ただし、問題が完全に収束したわけではないため、本格的に参与観察やインタビュー調査をする段階にはなかった。また、それぞれの地域において、コミュニティと協議をし、いわば仕切り直す必要も生じた。従って、引き続き進捗は遅れている状況である。このような理由から、研究期間を1年間延長する申請をした。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間の延長が認められたため、2023年度が最終年度となる予定である。今年度は夏季に、代表者および分担者で、クック諸島・ラロトンガ島とNZ・オークランドを訪問する計画である。ラロトンガ島では、プカプカ人移民の短期宿泊施設と集住地区を拠点として、参与観察およびインタビュー調査を実施する。オークランドでは、2つの組織の紹介のもとで、高齢者を主に対象としてインタビュー調査を実施する。いずれの場合にも、COVID-19問題には十分注意するつもりである。また、問題が再度深刻化し、いずれかの地域あるいは両地域でフィールドワークが困難となった場合には、これまでの経験を活かしてインターネットを駆使しながら柔軟に対応する。さらに、研究成果の総括に向けて、研究会をより活発化させ、出版を視野に入れながら執筆活動にも専念する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19問題により、2020年度、2021年度は海外におけるフィールドワークが不可能であった。また2022年度は海外渡航は可能になったものの、COVID-19問題の継続のため本格的な参与観察およびインタビュー調査は実施できず、短期滞在に留まった。以上の理由から、旅費を中心に繰り越す金額が増えた。最終年度となる2023年度は、夏季にクック諸島およびNZに渡航する計画であり、可能であれば他時期における渡航も検討し、集中的にフィールドワークを実施する予定である。 本研究は具体的には、〈A〉移民コミュニティ形成過程、〈B〉移民コミュニティの平常時における特徴と機能、〈C〉インターアイランド・ネットワークの特徴と機能、を明らかにすることをその目的としている。翌年度の計画は、以下の通りである。 ①東京にて3回の研究会・打ち合わせ【代表・分担】。 ②夏季にラロトンガ島およびオークランドにて現地調査。〈A〉について聞き取り調査・参与観察【分担】。〈B〉について聞き取り調査・参与観察【代表】。〈C〉について聞き取り調査・参与観察【代表・分担】。③春季にラロトンガ島あるいは/およびオークランドにて補足調査【代表】。調査データの整理と分析・学会発表・論文の投稿【代表・分担】。 2023度分の助成金の大半は、海外航空券・海外の物価が高騰していることもあって、旅費に使用される予定である。
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