2022 Fiscal Year Research-status Report
The Dynamism of Political Values between Civil Society and Populism: Anthropological Study on the Political and Social Movements in Central Eastern Europe
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20K01191
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
神原 ゆうこ 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (50611068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポピュリズム / 市民社会 / 文化人類学 / 感情 / 理性 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類学者にとって、ポピュリズムは普通の人々が関わるものでありながら、対象として正面からは扱われにくいものである。そこで、本研究ではポピュリズムを名指す力を持つ「市民的理性」に注目し、その多様性と動態を明らかにすることを目指している。具体的には、中東欧のポピュリズムとそれへの対抗運動について、地域レベルでの実態を把握したうえで(目的Ⅰ)、「市民的理性」の形成過程を明らかにする(目的Ⅱ)。そのうえで、ポピュリズムについて、特定の地域を超えて比較可能な文化人類学的視角を検討(目的Ⅲ)することで、当該テーマに関する文化人類学的研究の基礎を構築することを目的としている。 3年目となる2022年度は、目的Ⅰと目的Ⅱについて、スロヴァキアでの現地調査を進めることができた。パンデミックとロシアのウクライナ侵攻の影響で、調査地の状況は研究開始時と異なっていたが、ウクライナ難民支援の最大勢力のひとつであるカトリック教会系NGOや、ウクライナ支持への世論が割れるスロヴァキア社会において、かつて民主化にかかわってきたNGO関係者の見解などに注目し、現地の状況に合わせた調査方針の建て直しに努めている。現在のスロヴァキアの状況をやや長いスパンで位置づけ、再検討するために、9月には中東欧史の研究者とともにシンポジウム登壇し、歴史研究者と意見交換を行った(その成果も公開した)。 また、目的Ⅲについては、2020年と2021年度の研究成果を取りまとめるために、6月の文化人類学会で研究報告を行った。また、これまで研究協力者とともにオンラインで勉強会を行ってきたが、今年度は5月に広島で、2月に北九州で研究会を開催した。近隣の人類学者にも出席を呼びかけ、文化人類学としての可能性を広く探ることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は海外での現地調査や対面の研究会を実施することができ、やっとパンデミックに左右されずに研究を遂行することができた。また、これまでの成果をふまえ、口頭での研究報告も2回行った。報告内容については、ひとつはすでに公開し、もう一つは学会誌投稿論文として準備中である。2023年の成果につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年は本科研の折り返し地点であるが、パンデミックやロシアのウクライナ侵攻といった想定外の出来事により、本テーマに取り組むために、当初想定していた調査対象が適切であるかどうかが、不透明な状況になりつつある。したがって、2022年度の現地調査は、調査方針をよりアクチュアルなものに組み直すことを見据えて実施した。軍事行動や病気など、危機をより身近に感じる状況だからこそ、ポピュリズムと理性というテーマは重要であるので、研究をより深く進めたい。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルス感染症の流行、および渡航制限をうけて、2020年度と2021年度にスロヴァキアでの現地調査を先延ばししたため。2023年度も海外調査の実施は可能でありそうなので、夏季または春季の授業がない時期を活用して集中的に現地調査を実施する。
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