2023 Fiscal Year Research-status Report
Anthropological Study of Civil-Military Relations in Multiethnic Countries: The Case of Gorkha Soldiers in the Indian Army
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20K01194
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
上杉 妙子 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (90260116)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軍務 / 市民権 / 多民族国家 / インド / 英国 / ネパール / 植民地支配 / ゴルカ兵 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の通り、資料収集と研究成果の公開などを実施した。 1.ネパール及び中華人民共和国香港特別行政区への出張(2023年8・9月)では、まず、ネパール・ポカラ市において、インド陸軍退役ゴルカ兵に聞取り調査を実施し資料を集めた。Gurkha Memorial MuseumとProvince Museum Pokhara、ゴルカ王国旧王宮、Gorkha Museumも見学して資料を収集した。次にカトマンズ市では文献資料を購入した。旧英領インド陸軍が駐留していた香港特別行政区では、香港海事博物館の見学と、Whitfield Barracksの跡地(現九龍公園)とグルカ兵の末裔が住む尖沙咀地区の巡検を行い資料を収集した。 2.スロベニア共和国への出張(2023年12月)では、University of Ljubljanaの招聘を受けて“Military Service and Citizenship of Asian Migrant Soldiers: The Gurkhas’ Experience under the British Crown”と題する講義を行った。さらにInstitute for Ethnic StudiesとInstitute of Slovene Migration、National Museum of Contemporary History of Sloveniaを訪問し、資料を収集した。 3.ネパールへの出張(2024年3月)ではインド陸軍と英国陸軍の元士官や、退役ゴルカ兵団体の代表者、ゴルカ兵予備校長などに聞取り調査を行い資料収集を行った。またInternational Mountain Museumの見学とポカラ市の巡検を行い資料を収集した。 4.国内ではゴルカ兵に関する書籍や新聞記事を読み資料の収集を行った。ヒンディー語とネパール語の学習も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度及び2021年度は新型コロナ感染症の世界的流行により渡航中止勧告が発出され、海外調査ができなかった。しかし、2022年度以降は新型コロナ感染症の流行が落ち着き、関係国の政情も安定している。そこで2023年度も3回の海外出張を実施し、海外における資料の収集や研究成果の発表を行った。加えて国内調査も行い、基本的な情報の獲得や理論整備を進めることができた。そのため「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度であるので、以下の通り成果発表と科学研究費の申請を実施する。 1.これまでに収集した資料を整理及び分析し、2024年9月に第37回日本南アジア学会全国大会で口頭発表を実施する。 2.上記発表の際に得られたコメントを参考としつつ、英語論文を執筆し、日本南アジア学会の学会誌に論文ないし研究ノートとして投稿する。 3.2023年に刊行した自著『越境兵士の政治人類学―英国陸軍グルカ兵の軍務と市民権』を翻訳し、科学研究費の研究成果公開促進費を申請する。 4.2025年度以降の研究のために科学研究費の申請を実施する。「多民族国家の民軍関係に関する人類学的研究」をさらに発展させるために複数人の研究者に参加を請い共同研究とするつもりである。
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Causes of Carryover |
2020年度と2021年度は新型コロナ感染症の世界的流行のために渡航中止勧告が発出され、予定していた海外出張を実施することができなかった。2022年度と2023年度は海外出張が実施できたものの、最初の2年間に海外出張を実施することができなかったことの影響は大きく、2024年度使用額が生じた。
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