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2023 Fiscal Year Research-status Report

Anthropological Research on Violence and anti-Violence Effort in the United States

Research Project

Project/Area Number 20K01195
Research InstitutionTama Art University

Principal Investigator

中村 寛  多摩美術大学, 美術学部, 教授 (50512737)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords暴力 / 脱暴力 / 反暴力 / 国境地帯 / 文化人類学
Outline of Annual Research Achievements

2023年度は2022年度の研究成果を念頭に、引き続き国境をめぐる状況をメディア報道などによって観察すると同時に、国境地帯のフィールドワークを行った。前年のフィールドワークでは、メキシコ湾河口の町ブランズヴィルからはじめ、国境付近を移動しエルパソまでをカヴァーした。2023年度は、サンディエゴからティフアナにわたり、海岸沿いの国境フェンス周辺の文化を観察することからはじめ、テカテ、カリクシコ/メヒカリ、ユマ、アホ、ホワイ、ルークヴィル、ツーソン、ノガレス、ダグラス、ラス・パロマスなどに立ち寄りながらエルパソまで移動した。その間、できるだけ車を止め、歩くこと、写真を撮ること、ローカルのショップやレストラン、カフェ等に立ち寄り、人びとと会話的インタビューすることを試みた。観察とインタビューを展開するうえで念頭においていた問いは以下の通りである。
①ボーダータウ ンではどのような社会的営みがあるか。どのようにビジネスが発達し、どのような文化的特徴があるか。どのような歴史的展開の上に今の町が成り立っているのか。 ②ボーダータウンに暮らす人々は、国境をどのように捉えているか。近年になってフェンスが拡張されたり高くなったりするなかで、その変化をどのように捉えているか。 ③国境を越えた人々の行き来はどのような形で行われるのか。そこに観察される生活に根付いた感触ないし感覚はどのようなものだろうか。 ④以上の問いを集約させたときに、ボーダータウンにあらわれる特徴とはどのようなものか。その特徴は、いかなる環境、地政学、歴史、社会・文化の諸力のなかに形成されるか。
たびたび緊張関係が報じられるアメリカ/メキシコの国境地帯をすべてカヴァーすることができたため、環境的条件、地政学的条件、歴史的背景、社会・文化的文脈を包括的に把握することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍でフィールドワークに行けなかった時期が続いたのが、現在にも影響している。大幅に遅れてのスタートだったが、現在ではかなり当初の計画の軌道に近づいてきている。2022年度の後半にフィールドワークを再開できたのだが、本年度のフィールドワークと合わせての2回の現地調査で、アメリカ/メキシコ国境地帯の全域をカバーすることができた。計画上は、アメリカ/カナダの国境地帯と、プエルトリコへのフィールドワークが残っているため、2024年度でできるかぎりのフィールドワークを行いたい。

Strategy for Future Research Activity

上記の通り、最終年度ではあるが、コロナ禍の延期期間があったため、おおきく2地域のフィールドワークが未遂行の状態で残っている。2024年度は、したがって、少なくともアメリカ/カナダの国境地帯へのフィールドワークを実施する。そのうえで、余力があれば、 プエルトリコへのフィールドワークも行いたい。だが、場合によっては、プエルトリコへのフィールドワークを断念し、アメリカ/カナダの国境地帯に集中することも考える。
また、現時点では、マスメディア等で報道される国境をめぐる状況と、フィールドワークでの観察から得られる知見とのあいだにかなりの落差がある。その差分がどのようにして生じるのかをさまざまな角度から検討したい。そのためにも、国境地帯の事象に詳しい村田勝幸氏や越川芳明氏との対話も行いたい。場合によっては、事情に詳しいジャーナリストとの対話も企画する。
さらに、最終年度であることを鑑み、2024年度内に研究成果をとりまとめ、2025年度にかけて、アメリカ学会や文化人類学会での口頭発表、およびウェブ上でのレポートなどを通じて、研究成果をひろく社会に還元していく予定である。

Causes of Carryover

コロナ禍によって遅延していたフィールドワークの遅れを取り戻すため、当初2023年度には2回のフィールドワークを予定していたが、スケジュールの都合で1回(全10日間)のフィールドワークしか実施できなかった。そのため、その分多少の余剰が出た。これについては、2024年度のフィールドワーク関係費にあてたい。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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