2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01196
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岩田 重則 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20272619)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 両墓制 / 無墓制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度のこの申請研究は、申請者の私的事情によるが、実母の介護と他界により、調査・研究のために十分な時間をとることができなかった。それでも、滋賀県の湖東・湖南の地域を中心として、両墓制と無墓制についての、調査・資料収集を行なうことができた。この申請研究を計画した時点で、両墓制と火葬をともなう無墓制との間には関連性があるのではないかと推測してきたが、それについて、その仮説はおおむね確認できるのではないかと考えられた。また、両者とも、従来定説となっていた日本の固有信仰ではなく、仏教民俗としての性格が濃厚であり、一般的に民俗事象を固有文化のごとく理解する学問的潮流、思考様式についても、疑問を投げかけるものと考えられた。 両墓制については、1930年代以降の長い研究史において理解されてきたように、その埋葬墓地の形式が、その区画内であれば無秩序である場合と、家別、死去順など秩序のある場合とがあり、これらについても、留意してきた。無秩序か秩序か、どちらが両墓制の基本的様式であるのか、それが課題となるわけであるが、現時点では、その回答を得ることが難しく、2023年度の調査・研究で、これを継続していきたいと考えている。 無墓制については、それが浄土真宗地域に濃厚であり、他宗派では少ないことが、今回の調査・研究によりおおむね理解できるようになった。この事実が、両墓制とどのように関連するのか、それが今後の課題のひとつでもある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この申請研究は、2020年度からのものであるが、ちょうど新型コロナウィルスの影響により、フィールドワーク、調査が難しい時期も長く(調査地、被調査者への配慮も必要)、充分な調査を行なうことができなかった。また、私的事情によるが、2021年春ごろから高齢の実母の介護が本格的となり、2022年7月末他界した。この介護とそれにともなう多様な実務のために、調査・研究のために時間を割くことが難しかった。 このような状況が継続したために、調査・研究の進捗は遅れざるを得なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、この申請研究には遅延があるが、2023年度はこれを挽回すべく、フィールドを滋賀県・愛知県・三重県・静岡県に絞り、固有信仰ではなく、仏教民俗としての両墓制と無墓制についての論証につとめるべく、調査・研究に努力していきたい。 2023年度は延長申請によるので、調査・研究の幅を広げず、これまでの調査地の継続調査、補充調査などにつとめ、成果をまとめることができるようにしたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
2022年度は、私的事情になるが、2021年度から続いた実母の介護がより厳しい状態となり、7月末には実母が他界した。他界後も、多様な事後処理に追われ、充分なフィールド調査を行なうことができなかった。それでも、本務とこのような私事の合間を見て、フィールド調査を行なったが、不充分であった。2023年度は、2022年度における不足分をとりかえすべく、フィールド調査をできるだけ実施していきたい。
|