Cultural Anthropological Study of the Land Titke of the Orang Rimba, Hunters and Gathers of Indonesia

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K01198
• Research Institution: Hosei University
• Principal Investigator: 中島 成久 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (80117184)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 先住民族 / オランリンバ / 狩猟採集民 / 土地権 / インドネシア / 社会的共通資本 / コモンズ / 開発

Outline of Annual Research Achievements

研究対象であるインドネシアでも新型コロナウィルスが大流行していて、予定していたインドネシアでのフィールドワークは実施できなかった。その代わりに、研究テーマに関連する課題の文献研究と、これまでの研究実績をインタ―ネット上で発信するためのホームページの作成、およびある研究書の書評論文を執筆した。
本研究では、狩猟採集民族オランリンバの土地権の研究が主眼である。文献研究ではまず、インドネシアだけではなく、東南アジアとその隣接地域の狩猟採集民族、農耕民などの土地に対する基本的な問題を扱っている研究書を購入し、検討した。次に、近代的な土地取有権とは異なる共有地権の問題を経済学者宇沢弘文の主張する「社会的共通資本」論や「コモンズ論」との関連で捉えなおし、世界と日本の事例との比較研究を行った。こうした理論的な達成は、法政大学退職後居住している屋久島で、「屋久島憲法１００周年記念シンポジウム」を２０２１年１１月実施することにつながった。更に、開発下の土地問題という問題意識の中で、インドネシアを含むアセアン諸国での開発と土地紛争の研究書を比較検討した。
ホームページの作成は自身の研究を広く広報し、全世界的なネットワークの構築のために必要不可欠なツールであるので、今年1月から本格的に準備し、次年度の早い時期に完成する見通しが立っている。
「東南アジア」（京都大学東南アジア地域研究研究所）の書評論文として、笹岡正俊・藤原敬大編『誰のための熱帯林保全か』（新泉社）の書評を執筆し、２０２２年７月号への掲載が決定した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナの流行という予期しない事由のため、インドネシアでのフィールドワークは今年度も実施できなかった。これは受給者一人だけの問題ではなく、海外フィールドワークを前提とした研究すべてに当てはまる問題である。その代替として文献研究や、ホームページによる発信という課題の追求を進めた。

Strategy for Future Research Activity

２０２２年度も新型コロナの流行により現地調査は見通せない。そうすると、代替となる課題の追求が重要となる。
２０２２年度の７月に書評論文が「東南アジア」（京都大学東南アジア地域研究研究所）に掲載予定である。さらに、学術振興会の出版助成を受けて２０２１年９月刊行した『アブラヤシ農園開発と土地紛争』（法政大学出版局）の英訳書の出版を検討していて、英文原稿の準備を進めたい。
ホームぺーの開設が５月までには完了する見通しなので、HP上での情報発信を活発に行う。

Causes of Carryover

新型コロナの流行により計画の推進が大幅に遅れているため。現地でのフィールドワークではなく、文献研究と、博士論文を基に執筆した研究書の英訳版の出版の準備を進める計画である。