2020 Fiscal Year Research-status Report
外国にルーツを持つ子の親にとっての発達障害概念と子育て
Project/Area Number |
20K01199
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
斉藤 尚文 中京大学, 現代社会学部, 教授 (10170523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 兼大朗 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (00817398)
大谷 かがり 中部大学, 看護実習センター, 助教 (60535805)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達障害 / 外国にルーツを持つ障害児の親 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国にルーツを持つ発達障害児の親が、日本における発達障害の医療・福祉的言説や支援をどのように経験するのかを明らかにするものである。 日本では多様な文化・言語に配慮した教育・医療体制が未整備であるため、外国にルーツを持つ子の振る舞いの原因が、発達障害によるものか、または、日本文化への適応が困難な養育環境によるものかが識別しづらい状況にある。こうしたなか、子の所属学級の選択に困惑する親も現れている。 これらの実態を把握するため、本年度は、愛知県豊田市在住の外国人移住者を支援する特定非営利活動法人でのフィールドを行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、予定していた多くのフィールドワークを取りやめる結果となった。ただし、感染への入念な配慮のもと、感染が落ち着いた時期には、外国にルーツを持つ発達障害児の母親1名にインタビュー調査を行うことができた。また、現地での短期間のフィールドワークを通じて、障害をめぐる問題に対し、家庭の貧困問題といった側面も考慮する必要性を見出すことができた。今後は、障害のみに焦点を当てるのではなく、家庭の経済状況も踏まえた視点を積極的に取り入れた検討を行う予定である。 また、本研究は、発達障害を持つ日本人およびその親との比較も視野に入れており、愛知県豊田市の発達障害児/者やその保護者、支援者をサポートする市民活動団体の会員とのオンラインインタビュー調査を3件実施できた。具体的には、進級クラスや進学に関する考えや悩みなどを聞き取ることができた。 今後においては、上記の関係者と連絡を取りつつ、オンラインインタビューなどを用いながら、実施可能な調査を引き続き行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、予定していた多くのフィールドワークを取りやめることとなった。感染が落ち着いたタイミングで、外国にルーツを持つ発達障害児の母親1名にインタビュー調査を実施することができたが、当初予定していた人数にインタビューを行うことはやはりできなかった。一方で、発達障害を持つ日本人およびその親を支援する市民活動団体とのオンラインインタビューを行うことはでき、こちらは比較的順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象者への感染対策は言うまでもなく重要な優先事項である。緊急事態宣言や感染拡大のタイミングを読むことはできず、明確な研究スケジュールを示すことは困難であるため、本欄ではすでに検討されていることを書き記す。 第一に、対面的なインタビュー調査などはできるだけ行わず、オンラインインタビューを実施したいと考えている。今回、オンラインインタビューの有効性を確認できたことは大きく、なるべくこれを優先的に取り入れる。 第二に、フィールドの拡大である。本研究は、愛知県豊田市でのフィールドワークが軸となっているが、その他の支援団体との関わりを2020年度に結ぶことができたため、こちらでの調査も開始したいと考える。 いずれにしても調査対象者の感染予防を最優先とし、当初の研究目的を可能なかぎり実現できるよう、研究体制を構築していくつもりである。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策から、予定していた調査の多くを中止したことが理由となる。当初は、対面のインタビュー調査を行うため、医療通訳者への謝礼や、インタビューの録音データのテープ起こしの費用、旅費などに支出を予定していたが、これらの多くが未使用となった。 次年度は、すでにオンラインインタビューを行う予定が入っており、そこで必要となる機器や録音データのテープ起こし費用を助成金として使用するつもりである。
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