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2023 Fiscal Year Research-status Report

Anthropological Study on the International Trade Using Cryptocurrency in Africa

Research Project

Project/Area Number 20K01202
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

小川 さやか  立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (40582656)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywordsタンザニア / 香港 / インフォーマル経済 / ソーシャルコマース / ギグエコノミー / ブロックチェーン / 電子決済 / 送金システム
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、アフリカ諸国の輸入商たちがモバイルマネーや仮想/暗号通貨をどのように受け入れ、独自の経済文化を発展させているのかを実証的に明らかにすることを目的としている。アフリカ諸国での新しい通貨の利用よりも、国外にいるアフリカ系商人による多様な通貨や送金システムの利用を調査したほうが容易に目的を達成できることに気づいたため、2023年度は、8月に香港、2月にタイにおいて現地調査を実施した。香港では、新型コロナ災禍のなかで物理的な交易人の移動が制限される中、現地の商人たちがどのように生き延びてきたのかを調査した。その結果、アフリカ諸国とタンザニア間の交易がソーシャルコマースと電子決済に置き換わっていくプロセスが明らかになった。そこでは新型コロナ災禍の間にトルコやタイ、日本などの国へと移住した商人たちがそれぞれの地域で発展した異なるソーシャルコマースや電子決済の方法を持ち寄り、デジタル化されたインフォーマルな交易システムを再構築していることが明らかになった。また前年度に引き続き、タイとアフリカ諸国間の鉱石・貴石の交易システムとそこでの電子貨幣等の使用について調査を行い、交易の各段階の方法が明らかになりつつある。主たる成果として、前年度に寄稿した学術論集『負債と信用の人類学』(以文社)および『所有とはなにか』(中央公論新社)が公刊された。またアフリカで遊動的な暮らしをしている者たちのレジリエンスに関する論文を『レジリエンスは動詞である』(京都大学学術出版会)に寄稿し。また『中央公論』信濃毎日新聞等で連載をした。朝日新聞出版『一冊の本』で連載していた原稿を単著として編集し直す作業を行っており、やや予定より遅れているが次年度に公刊予定である。国際シンポジウムでの発表に加え、企業等での講演活動にも積極的に従事し、成果の社会還元に努めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初はケニア、タンザニア、香港での調査を予定していたが、アフリカ諸国内での仮想暗号通貨の利用は想定していたよりも限定的であり、海外在住のアフリカ系商人たちの利用状況を調査するほうが確実にインフォーマントを見つけられることが明らかになった。そこで2023年度は香港とタイでの調査に注力した。またどのような決済方法を利用するかは、ソーシャルコマース(FacebookやInstagram、WhatsApp、WeChat等のソーシャルメディアを介した商取引)の発展と重ね合わせて理解する必要があることから、インフォーマル経済における多様なソーシャルコマースのやり方やその独自の発展形態について調査を行っている。その成果はいくつかの論文で公表し、既存のデジタルインフォーマル経済をめぐる議論に貢献した。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

上述した通り、暗号通貨の利用は想定した以上に限定的ではあるが、これまでの調査でソーシャルコマースの発展に伴い、様々な電子決済や送金サービスの利用のみならず、多様なインフォーマルな電子決済や送金システムが自生的に構築されていることが明らかになりつつある。
そこで今後の調査では、アフリカ商人のアジア諸国への移動、移動先のソーシャルコマースの多様な方法のアフリカ諸国への導入、そしてそれに合わせた電子決済や送金システムの構築という3点を切り口に、リープフロッグ型発展が生じているアフリカ諸国とアジア諸国間のインフォーマルな国際取引の変容を解明することを目指したい。
具体的には、各国から帰還したタンザニア商人たちがそれぞれのソーシャルコマースの方法と電子決済の方法にどのような利便性や不便を見いだしたか、彼らがどのようなプロセスで他の国から帰国した商人たちが導入した他のソーシャルコマースの方法と自身の方法を組み合わせることになったのかを聞き取り調査する。
また最終年度には、本研究課題に関連した査読論文、国際シンポジウムでの発表、これまでの成果をまとめた単著『無条件の条件』の出版を予定している。また共同研究の成果として、レジリエンスに関する共同研究の成果論集、サントリー文化財団共同研究『信用の人類史』の成果論集の出版および共同研究の成果論集『負債と信用の人類学』の英語翻訳の出版を予定している。

  • Research Products

    (28 results)

All 2024 2023 Other

All Journal Article (6 results) Presentation (14 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results,  Invited: 8 results) Book (7 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 特集 大学と生成AI/[対談]精読と身体 AIには教えられない知2024

    • Author(s)
      小川さやか、古田徹也
    • Journal Title

      中央公論

      Volume: 138(3) Pages: 80-89

  • [Journal Article] 立岩文体の感染力―生きて在る運動の基盤として2024

    • Author(s)
      小川さやか
    • Journal Title

      現代思想

      Volume: 52(3) Pages: 137-143

  • [Journal Article] リファービッシュ品を売って儲けよう2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Journal Title

      月刊みんぱく

      Volume: 47(11) Pages: 6-7

  • [Journal Article] 街の気分と思考「宝石の街で見た博打と貯蓄」2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Journal Title

      新潮

      Volume: 120(8) Pages: 216-218

  • [Journal Article] 「なぜ人は人を助けるのか」の人類学 無条件の条件 第12回 この偶然に賭ける2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Journal Title

      一冊の本

      Volume: 28(7) Pages: 43-51

  • [Journal Article] 学びの世界を探る ハカセの謎を追え 小川さやかさん 文化人類学2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Journal Title

      Ethics for Youth

      Volume: 4 Pages: 28-29

  • [Presentation] Multimodal Anthropology Using Serious Games: Toward a Collaboration of Business, Education, and Anthropology2024

    • Author(s)
      Sayaka Ogawa
    • Organizer
      東京外国語大学フィールドサイエンスコモンズ, アカデミックリサーチと芸術の未来/シンポジウム
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] セッション「現代人の『生きづらさ』の本質とは」 、ディスカッション「歴史から学ぶ──この地球的危機に人類はどう立ち向かうべきか?」2024

    • Author(s)
      小川さやか
    • Organizer
      立命館先進研究アカデミー(RARA)地球危機の時代に、どう挑むべきか―異分野をつなぐ「総合知」を目指して
    • Invited
  • [Presentation] エスノグラフィー・プロトタイピング2024

    • Author(s)
      小川さやか
    • Organizer
      立命館アカデミックセンター デザインリサーチの方法論 ビジネスにインパクトを与える人文社会科学
  • [Presentation] グローバルな資源循環とミクロな「借り」の循環ータンザニア商人から考えるもう一つの資本主義経済2024

    • Author(s)
      小川さやか
    • Organizer
      東レ株式会社・東レ経営研究所 繊維産業シンポジウム
    • Invited
  • [Presentation] Diversification Strategies of ‘Self’ and Informality2023

    • Author(s)
      Sayaka Ogawa
    • Organizer
      International symposium "Asian Urbanism and Urban Informality"
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Session Ill panel disscussion2023

    • Author(s)
      Sayaka Ogawa
    • Organizer
      International workshop "Informality as a cornerstone of rapid and equitable development in Africa"
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 災害危機に対するレジリエンス強化のためのシリアスゲームの可能性と課題2023

    • Author(s)
      シン・ジュヒョン、小川さやか
    • Organizer
      立命館大学 環太平洋文明研究センター 2023 年度 R-GIRO 公開シンポジウム 学際的視点から人類のレジリエンスを捉え直す
  • [Presentation] 『万物の黎明』公刊記念シンポジウム パネルディスカッション2023

    • Author(s)
      小川さやか、松村圭一郎
    • Organizer
      2023年度 第1回 比較考古学研究会
  • [Presentation] 時間をあたえあう―タンザニアの零細商人の贈与論2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Organizer
      2023年度春学期東京大学東アジア藝文書院学術フロンティア講義
    • Invited
  • [Presentation] 文化人類学者と考える「豊かさ」と「今」2023

    • Author(s)
      小川さやか、落合陽一
    • Organizer
      WEEKLY OCHIAI/NewsPicks
    • Invited
  • [Presentation] 座談会「これからの幸せ イン仙台」2023

    • Author(s)
      小川さやか、大江田 紘義、古市憲寿、戸松 義晴、笑い飯・哲夫
    • Organizer
      浄土宗開宗850年記念・法然フォーラム
    • Invited
  • [Presentation] アフリカにおけるリープフロッグ型発展とデジタル・インフォーマル経済の進展2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Organizer
      エンジニアリングシンポジウム2023「混迷の時代~エンジニアリングが未来を照らす」
    • Invited
  • [Presentation] タンザニアを見れば、日本の未来が見えてくる―資本主義、SNS、人付き合い2023

    • Author(s)
      小川さやか、柴山桂太
    • Organizer
      表現者クライテリオン
    • Invited
  • [Presentation] ままならない社会を楽しむ2023

    • Author(s)
      小川さやか
    • Organizer
      米原市役所本庁舎
    • Invited
  • [Book] レジリエンスは動詞である―アフリカ遊牧社会からの関係/脈略論アプローチ2024

    • Author(s)
      湖中真哉、グレタ・センプリチェ、ピーター・リトル編、小川さやか、榎本珠良、ジュリア・ゴンザレス、佐川徹、島田剛、イアン・スクーンズ、波佐間逸博、ラーマ・ハッサン、村尾るみこ
    • Total Pages
      484
    • Publisher
      京都大学学術出版会
  • [Book] ふたしかさを生きる道具2024

    • Author(s)
      ツバメアーキテクツ編、山道拓人、千葉元生、西川日満里、高野ユリカ、小川さやか、青井哲人
    • Total Pages
      231
    • Publisher
      TOTO出版
  • [Book] 日本のまちで屋台が踊る2023

    • Author(s)
      中村睦美、今村健人、又吉重太編、モリテツヤ、鈴木有美、神条昭太郎、孫大輔、小川さやか、南後由和、鞍田崇、石榑督和、栗原康、阿部航大、笹尾和宏
    • Total Pages
      271
    • Publisher
      屋台本出版
  • [Book] 世界のクリスマス百科事典2023

    • Author(s)
      樺山紘一、中牧弘允編 小川さやか他33名
    • Total Pages
      358
    • Publisher
      丸善出版株式会社
  • [Book] ボードゲームで社会が変わる2023

    • Author(s)
      與那覇潤、小野卓也(寄稿 三宅香帆、辻田真佐憲、安田洋祐、小川さやか、安田峰俊)三牧聖子
    • Total Pages
      229
    • Publisher
      河出書房新社
  • [Book] 未来の「奇縁」はヴァースを超えて―「出会い」と「コラボレーション」の未来をSFプロトタイピング2023

    • Author(s)
      藤井太洋、高山羽根子、倉田タカシ、Sansan株式会社、WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所(インタビュー記事 小川さやか、田邊泰)
    • Total Pages
      183
    • Publisher
      プレジデント社
  • [Book] 歩くようなはやさで生きる人のためのリベラルアーツ2023

    • Author(s)
      倉田さおり、小川さやか、橋迫瑞穂、永井玲衣
    • Total Pages
      208
    • Publisher
      NPO法人シブヤ大学
  • [Remarks] 立命館大学研究者学術情報データベース

    • URL

      https://research-db.ritsumei.ac.jp/rithp/k03/resid/S001094

URL: 

Published: 2024-12-25  

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