2022 Fiscal Year Research-status Report
「世俗の領域」におけるイスラーム実践にかんする実態調査研究
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20K01220
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
多和田 裕司 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (00253625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イスラーム / マレーシア / 世俗 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、新型コロナ感染症の影響がようやく解消され、マレーシアでの資料収集および実態調査を実施することができた。ただ、コロナ禍によって予定していた3か年の現地での研究活動を大幅に短縮せざるを得なくなったため、(1) 非ムスリムとの「対人関係」、(2) イスラーム以外の要素が遍在する「空間」、(3) 非ムスリム、非イスラームの存在を前提とする様々な「制度」という三つの領域を別々に取り扱うという当初の計画は断念し、マレーシア・ムスリムのおかれている「世俗」の領域について、総合的に検討することにした。そのうえで、2022年度においては、夏季および冬季の二度にわたる現地調査とそこで収集できた資料の整理、分析をおこなった。 現地調査については、「対人関係」「空間」「制度」が絡まりあう場としての経済活動に注目し、イスラームの名のもとで、イスラーム教義にしたがってなされる活動が、イスラームとはまったくかかわりのない世俗的な要因によっても形作られている事象について焦点をあてた。具体的には、イスラーム教義に基づく非難が繰り返されながらも、ムスリムと非ムスリムがともに楽しむ祝祭空間であり、同時にさまざまな消費がなされるマレーシアの「盆踊り」や、制度的にはイスラーム教義に規定され、それによって形作られてはいるものの、実践においては観光活動と相似的な様相を呈する「巡礼」などである。 現段階の分析としてはまだ資料が十分ではないが、いずれの事象においてもイスラーム以外の要因(世俗の領域)が欠くべからざるものとしてムスリムの実践を形作るとともに、場合によってはイスラーム教義的には「正しい」とされる実践すら変えてしまう可能性を示すものとしてとらえることができる。 今後これらの事象をさらに付け加えることで、現代社会におけるイスラーム実践についての新たな知見が得られると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の世界的拡大により、当初予定していた2020年度、2021年度におけるマレーシアでの資料収集や実態調査を実施することができなかったため、研究の進捗は当初計画から遅れている。2022年度になり、ようやく現地での調査が可能となったことで、研究計画の修正をおこないつつ、少し遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、本計画の補助事業期間延長が承認されたことにより、2022年度と同程度のマレーシアでの調査を実施し、第一次資料の入手に努めたい。具体的には、本務校の夏季休業期間および冬季休業期間を利用して可能な限りの現地での資料収集を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究はマレーシアでの現地調査をもとにしたものであり、補助金の大部分を現地調査の経費にあてる計画であった。しかし2020年度、2021年度とコロナ禍によって現地調査がまったくできなかったことから、2022年度の研究実施後もなお当初予算が予定通り執行されていない状況にある。幸いにも2023年度の補助事業期間延長が認められたため、現地調査を中心に繰り越した補助金を使用する予定である。
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Remarks |
多和田裕司(2022)「知識探訪 イベントとしてのKL盆踊りと共生への可能性」『The Daily NNA マレーシア版』(2022年10月25日)
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Research Products
(2 results)