2021 Fiscal Year Research-status Report
Multi-sited Ethnography on the Transformation of National Identity in East Asia
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20K01223
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
土佐 昌樹 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (10237084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルチサイテッド・エスノグラフィー / 国民的アイデ ンティティ / グローバル化 / 東アジア / ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化の進行、移民の増加、さらに中国の台頭といった新たな動因が東アジア地域に流動的な作用を及ぼしている。それらの動因が集約的に現れる事例を通じてマルチサイテッド・エスノグラフィーの方法で比較的に省察し、東アジアの実存的・集団的アイデンティティの行方について深い分析を加えながら理論的一般化を図ることが本研究調査の目的である。 しかし、一昨年に続き昨年度もコロナ禍による渡航制限が続き、海外現地調査をまったく実施できなかった。そのため、主に文献調査の方法に切り替え、過去のフィールドワークの成果を発展させる形でその成果の一部を論文等として発表した。 国内では東京新大久保地域の多文化コミュニティに対する調査研究を継続している。その延長として、大阪で短期の調査研究を試みた。生野コリアタウンを訪問し、事務局代表へのインタビューを行った。ニューカマーが中心となって形成された新大久保多文化タウンに対し、こちらはオールドカマーが主体となって形成されており、またk-popの流行を受ける形で新たな変化が起きている現実が確認できた。「釜ヶ崎のまち再生フォーラム」の代表からはこの地域が多文化タウンへとダイナミックに変貌している様子を詳しく聞くことができた。また、「永続的共創」を掲げ外国人の雇用や生活に関するサポートを進めている組織、株式会社YOLO JAPANの代表にインタビューを実施し、大阪が多文化社会へと向け予想を超えた速度と規模で進行している事実が確かめられた。短期の調査旅行であったが、研究を発展させるにあたり予想以上の大きなヒントを得ることができた。 予測できないパンデミックによりフィールドワークを主要な方法とする調査研究は大きな軌道修正を迫られたことも確かだが、逆にこうした状況だからこそ見えてくるコミュニティの一面に目を向けることで、当初の研究目的に結びつくヒントも学ぶことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による渡航制限が続き、予定していた海外現地調査をまったく実施できなかった。同じような状況がさらに続いた場合、研究計画の大幅な見直しが必要にな る。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を予定している韓国、中国、台湾では、まだしばらくは渡航制限が続くものと予想される。海外からの渡航を認めたとしても、2週間の隔離が続く限り は、現実には現地調査が不可能な状況が続くことになる。一方で、ウィルスの弱毒化とともに渡航制限の緩和の兆しも見えつつある。特に韓国ではその兆しがすでに見えており、早ければ夏期に調査旅行を実施したいと考えている。他の地域も、来年2-3月にもし渡航が自由化されたら集中的に調査を実施してこれまでの遅れを取り戻したい。それが できない場合は、国内の多文化コミュニティに対する調査の比重を増やし、補完的な調査研究を進展させたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による渡航制限のため、海外実地調査がまったくできなかったため、予算の大きな部分は翌年度に繰り越さざるを得なかった。
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Research Products
(2 results)