2021 Fiscal Year Research-status Report
Becoming Groupes by Collecting Money in Southern Ghana, an Ethnographic Study
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20K01230
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
浜田 明範 関西大学, 社会学部, 准教授 (30707253)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集金 / 集団 / パーティー / 徒弟制 / 儀礼 / 部分的つながり / 経済人類学 / ガーナ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度に引き続き、COVID-19のパンデミックの影響を受け、ガーナ共和国南部での現地調査を実施することができなかったため、過去に実施した現地調査で収集したデータの整理・再検討を行うとともに、経済人類学の先行研究を広く渉猟し、本研究課題の対象であるガーナ南部の「パーティー」の特徴を再定位する作業を行った。 特に、当初に設定した3つの問題意識の2番目のもの(「パーティー」における集金実践の具体的なやり取りのなかでどのような集団がどのように立ち上げられているのか)に焦点を当てながら、マリリン・ストラザーンの「部分的つながり」という発想の前提となる多元的な状況を念頭に置いた集団の生成に関する社会人類学の研究蓄積を振り返るとともに、経済人類学に関しては、マイケル・タウシグ、マルセル・モース、クロード・メイヤスー、ジェイムズ・スコットらの著作を再検討した。 前者については、ジェイムズ・クライド・ミッチェルが1960年に提起していた「対抗的な結びつき」という概念の有効性を確認し、その意義を明確にするために、成果の一部を論文として発表した。後者については、モースが「ポトラッチ」として定式化していた現象と「パーティー」の相違点を整理することで、本研究課題の意義をこれまでとは異なる角度から明確にしようと試みた。この点については、成果の公表を行っていないが、本課題の取りまとめの成果の導入を構成するものとなる予定である。 また、パンデミック下における現地調査の課題と解決方法を探るため、映像作品の制作を継続してきたドキュメンタリー作家を招聘し、研究会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に続き、COVID-19のパンデミックにより、当初予定していたガーナ共和国南部における現地調査を実施できなかったため、当初よりも研究がやや遅れている。この遅れを補うため、2021年度は、より広い経済人類学の蓄積のなかに本研究を位置づけ直そうと試みた。2022年度は、新たに定位した方向性で研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、引き続きガーナ南部における現地調査の実施が危ぶまれる状況にあることから、過去に行った現地調査で収集したデータを、2020年度・2021年度に行った文献研究によって更新された理論的フレームワークにもとづいて、再解釈・再記述する作業を行う。現地調査を実施できなかった分、先行研究の検討に時間を使うことができたため、理論的な見通しについては、これまでよりもはっきりとしてきており、この方向で研究を進めることによって、当該の現象についての新規性のある民族誌を執筆できると考えている。
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Causes of Carryover |
COVID-19のパンデミックによってガーナ共和国南部での現地調査を実施することができなかったため、当初予定していた通りに予算を執行することができず、次年度使用額が生じた。
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