2023 Fiscal Year Research-status Report
中国少数民族におけるキリスト教伝道史に関する研究ー中国内地会を中心に
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20K01233
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
徐 亦猛 福岡女学院大学, 国際キャリア学部, 教授 (00638265)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中国内地会 / 宣教師 / 中国少数民族 / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度において、中国の西南部彝(イ)族地域における中国内地会の活動を解明するため、上海、台湾及び日本国内の所蔵の『億萬華民』(China's Millions)の資料を解読し、四川、貴州、雲南のイ族地域において中国内地会の伝道歴史的背景について、解明した。20世紀初期において、イ族は平地の漢民族からの政治と経済の抑圧に苦しんでいた。その時内地会や英国循道公会に所属した宣教師が貴州と雲南地域のイ族の間で宣教活動を始めたことが集団改宗運動を引き起こす歴史的背景となった。イ族にとって、キリスト教は抑圧された少数民族としての自分の苦難の経験に対して説明と救済の可能性を与えると認識した。 さらに、内地会の宣教師は、伝道、教育、医療などの分野における様々な文明活動を通して、イ族社会の精神生活と物質生活を改善させ、少数民族の間に確固とした生活基盤を作り上げたと評価できる。しかし、その一方でキリスト教の伝道の過程において、イ族はキリスト教を受容すると同時に、一部の貴重な伝統文化が失われてしまったことは見逃せない。これからキリスト教が如何に伝統的なイ族の文化と融合しながら、イ族文化の一部となり、少数民族に健全な宗教的役割を果たすのかが大きな課題となることを明らかにした。 その研究成果は明治学院大学キリスト教研究所「中国近現代キリスト教研究プロジェクト」第3回研究会に於いて発表し、研究論文として刊行した。また研究成果一部は2024年6月6日-7日香港で開催するThe 13th International Symposium on the History of Christianity in Modern Chinaにおいて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度新型コロナウィルス感染症が5類に引き下げ水際政策も完全に撤廃され、上海、台湾及び日本国内の図書館へ赴き、所蔵の中国内地会の一次資料を解読し、中国西南部イ族に地域における中国内地会の宣教活動の努力について、解明した。2024年度積極的に海外の図書館へ赴き、一次資料を収集し、中国内地会や所属宣教師の活動の実態を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度から積極的にオーストラリア、イギリス、アメリカの大学図書館、宣教団体OMFインターナショナル(国際福音宣教会)の各支部の資料室へ赴き、資料の閲覧と複写し、全体まとめて行く予定である。
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Causes of Carryover |
今までコロナウイルス感染拡大により、海外渡航は大きく制限されていたため、オーストラリア、イギリス、アメリカの大学図書館への資料調査ができず、当該助成金の未使用額が生じた。2024年度から本研究の最終年度になり、新型コロナウィルス感染症が5類に引き下げ、水際政策も完全に撤廃されたため、積極的にオーストラリア、イギリス、アメリカの大学図書館、宣教団体OMFインターナショナル(国際福音宣教会)の各支部の資料室への資料調査を実施するため、次年度分として使用する。
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