2021 Fiscal Year Research-status Report
The classical foundation of the modern Italian criminal thoughts: C.Beccaria, F.M.Pagano, N.Nicolini
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20K01239
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30234777)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イタリア / ベッカリーア / グラヴィーナ / パガーノ / ニコリーニ / ホッブズ / ローマ法 / 西洋古典 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度に引き続きCovid-19の蔓延によって予定変更を余儀なくされた。具体的には、国内にいながらにしてできる資料文献収集の継続とその分析、およびオンライン上で可能な国内外の研究者との意見交換等の活動に全面的にウェイトを移した。 そのため、最新型の情報処理機器、情報ネットワーク設備関連機器、関連ソフトウェア等を購入し、資料文献収集や解析に使用した。また国内外のオンライン研究会や会議等への参加が容易になった。 その結果、2020年度において紙媒体ないしデジタルデータの形で入手できた多数の最新の研究や未検討資料の分析に着手することができた。とくにベッカリーア『犯罪と刑罰』初版刊行250周年記念の各種シンポジウム等の記録は、依然としてイタリア各地および周辺諸国(とくにスイス、フランス、アメリカ)で数年遅れの刊行が続いており、引き続き資料文献収集を継続するとともに、内容的な分析すなわち欧米におけるベッカリーア研究の最新動向をことに努めた。また、2021年度は、現代の刑事法理論の基礎をなす、T.ホッブズとベッカリーアの社会理論・刑罰理論について原典テキストを厳密に比較検討する作業をおこない、刑罰権の根拠について思想的分析を遂行した。国内外のオンライン開催の学会・研究会等にも積極的に参加して議論を継続した。西洋古典(とくにギリシャ語)に関してもオンライン上に新規開設された研究会のいくつかでの活動を継続しており、2021年度はとくにデモステネスの刑事弁論「ネアイラ弾劾」およびソクラテス裁判に関するギリシャ語資料の綿密な原典資料解析を試みた(継続中)。 以上の諸活動にもとづき、下記のごとく具体的な研究成果をいくつか発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したような研究実績の概要を研究計画・目的に照らしてみると、Covid-19によって大幅な予定変更を余儀なくされたにもかかわらず、代替的手法を開拓した ことなどによって、総体的には「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。本来2022年度は、前年度までの成果にもとづき、ナポリ、ローマ、モデナ等で本格的な資料収集活動・分析・考察等をおこなう計画であったが、依然としてCovid-19の状況は見通しがきかない中、現地資料調査の予定を立てることは容易ではない。しかし、2022年度は現地調査も不可能ではない状況になることとも期待できる。そこで前年度までに新規開拓したオンラインでの調査手法や、研究交流、研究活動への参加の方途などを積極的に検討していくとともに、疫学的情勢を見ながら可能な限り現地調査の実行可能性を探る。それらの作業を進めるために前年度までに導入したIT設備やソフトウェア等を最大限活用する。
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