2022 Fiscal Year Research-status Report
The classical foundation of the modern Italian criminal thoughts: C.Beccaria, F.M.Pagano, N.Nicolini
Project/Area Number |
20K01239
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30234777)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | イタリア / 刑事法 / ベッカリーア / 刑事裁判資料 / ギリシャ語 / ソクラテス / 名誉犯罪 / カトリシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2021年度に引き続きCovid-19によって研究方針に影響を受けた。具体的には、国内にいながらにしてできる資料文献収集の継続とその分析、およびオンライン上で可能な国内外の研究者との意見交換等の活動にウェイトを置く方針を基本的に維持した。また国内外のオンライン研究会や会議等への参加を積極的におこなった。 他方で、行動規制緩和の状況変化に鑑み、2022年9月後半には渡伊を決行し、国立ナポリ文書館やローマの司法省中央図書館等での資史料収集、現地調査、現地研究者との研究交流・意見交換等をおこない、貴重な成果を得た。 具体的には、欧米におけるベッカリーア研究の最新動向を消化、批判する作業を継続した。西洋古典(とくにギリシャ語)に関してもオンライン上に新規開設された研究会のいくつかでの活動を継続しており、2022年度はとくにソクラテス裁判に関するギリシャ語資料の綿密な原典資料解析を継続した(なお継続中)。また現地調査の成果としては、19世紀の刑事裁判原資料(とくに捨子など名誉犯罪の裁判事例の資料)を多数収集することができた。 以上の諸活動にもとづき、下記のごとく具体的な研究成果をいくつか発表することができた。 他方、これらの研究活動の結果、イタリア刑事思想史の追究のためには、カトリシズムの問題を避けて通ることはできないという認識を新たにし、今後の大きな課題をなすことを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要を、本研究の目的・計画に照らしてみると、Covid-19の影響を完全に脱しているとはいえないものの、代替的手法の工夫や現地調査の決行などによって、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、Covid-19の影響はより小さくなり、現地に赴いての研究活動はより容易になることが期待できる。そこで前年度までの資料収集や分析作業などの成果によりつつも、追補的な現地調査や、現地での研究交流等をいっそう進め、研究の飛躍的な推薦をはかるための方策を探る。
|
Causes of Carryover |
Covid-19の疫学的状況は2022年度中に一定の改善を見せ行動規制も緩和傾向にあったが、しかし研究活動はまだその影響を受けざるを得なかった。このため本来2022年度に計画していた現地調査のプランについて、2022年度は実際に現地に赴くことはできたが、しかし元々予定していた規模は大幅に縮小せざるを得なかった。このため「次年度使用額」が生じた。2023年度分として請求した助成金と合わせて、2023年度はあらためて追補的な現地資史料収集を試み、研究の飛躍的な遂行を目指す。
|