2023 Fiscal Year Research-status Report
The classical foundation of the modern Italian criminal thoughts: C.Beccaria, F.M.Pagano, N.Nicolini
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20K01239
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30234777)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ベッカリーア / オーストリア一般刑法典 / 裁判資料 / 少年司法 / 宗教と法 / 古代ギリシャ法 / ローマ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は『犯罪と刑罰』以後のベッカリーアの思想的発展の分析を進めた。その成果の一部として、自ら翻訳した『犯罪と刑罰』(2011年、品切れ)の新装版が刊行されることになった機会に、ベッカリーアが『犯罪と刑罰』初版刊行から20年以上後の1787年に執筆したオーストリア一般刑法典に関する論考の手稿資料を2023年9月のイタリア出張時にミラノのアンブロジアーナ図書館で直接閲覧して確認した上で全文訳出し、その解説文等も準備するなど、追補資料掲載の作業を進めた(2024年度中に同書増補新装版刊行予定)。 また同出張の際にヴェネツィア文書館等にて刑事裁判史料の所蔵調査をおこなうなど、裁判記録を用いたイタリア刑事法史研究を進め、その成果の一部を2023年12月のイタリア近現代史研究会例会で報告した(「20世紀初頭ナポリ捨子裁判記録を読む」)。 他方ベッカリーアなどの刑事法思想の現代的発展形態のひとつである少年司法に関する研究活動の一環として、2024年3月の龍谷大学公開シンポジウム「イタリア未成年裁判所から日本の少年司法について考える」にてサレルノ未成年者裁判所所長P.アヴァッローネ氏の講演の通訳と解説を勤めた。さらにイタリア刑事裁判関連のイベント(2024年5月)へのビデオ出演を依頼され、袴田事件についてミラノ地裁の裁判官らからオンライン・インタビューを受ける準備を進めた(2024年度中にインタビュー実施予定)。 古代ギリシャ法研究の一環としてプラトン「ソクラテスの弁明」をギリシャ語で読解・考察し、ローマ法についてはとくにグラックス改革に関する複数のラテン語文献を分析・考察した。 カトリック教会とイタリア法の史的関係に関する研究も進めた。その成果の一部は『世界の社会福祉年鑑2023:特集「宗教と社会福祉」』の編集取りまとめ作業や、総論として執筆した「宗教と社会福祉―概観」に反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベッカリーア研究を進め、その成果の公表に向けて具体的作業を進めることができた。 関連して、イタリア法史を理解する上で欠かせないオーストリア刑事法史の研究も飛躍的に進めることができた。 他方で裁判記録を用いたイタリア刑事法史研究を深め、今までの作業を包括する研究発表をおこなうことができた。 その他、現代のイタリア少年司法へと至る発展、イタリア法のベースをなす古典古代法の研究、イタリアにおける宗教と法についての研究もそれぞれ格段の進捗をみた。 しかし学部長職など学内業務が多忙を極め、海外出張期間が著しく制約されたこともあって、全体の大きな総括作業を完遂させるにはいたらなかったため、研究期間を延長し研究の完成を期すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ベッカリーア研究の成果を翻訳書の増補新装版の出版という形で公表することを目指して、研究を一層推進させる。 裁判資料をも用いた本格的なイタリア刑事法史研究の総合的完成を目指して、長期的に現地に滞在し、裁判記録や古典文献の閲覧、分析、考察を集中的に進める(2024年度後期にサバティカル取得予定)。
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Causes of Carryover |
学部長職など学内業務が多忙を極め、海外出張期間も著しく制約されたため、研究全体の総括には至らなかった。また研究成果の発表も出版社の事情により一部は2023年度内には実現しなかった。2024年度中に研究成果の確実な出版予定があり、また現地長期滞在を含む研究全体の最終的取りまとめ作業をおこなう必要があるため、研究期間を延長した。
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