2023 Fiscal Year Research-status Report
Activities of the ICRC Delegates in the territory under the Japanese occupation during the World War II
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20K01247
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
大川 四郎 愛知大学, 法学部, 教授 (70185205)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際人道法史 / ジュネーヴ条約 / 赤十字国際委員会 / 民間人抑留問題 / 集合的記憶 / 民間人保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、アーカイヴ史料調査状況について述べる。勤務先大学の「教育職員特別研修」制度(いわゆるサバティカル研修)を使い、2023年4月1日より2024年3月30日まで、研究代表者は、ジュネーヴ大学法学部法制史研究室客員研究員の資格で、スイス国内の関連アーカイヴでの史料調査を実施した。特に利用したのが、在ジュネーヴ赤十字国際委員会(以下、ICRCと略)アーカイヴである。ここでは、第二次世界大戦中の上海、香港において、日本政府からの承認の下、赤十字活動に従事したICRC代表2名に関して、計3110件の文書(定例業務報告、俘虜収容所・民間人抑留所視察報告、電報、私信等々)を閲覧した。その際に、計7026点のデジタル画像を作成した。こうしたリサーチの結果、彼らが厳しい制約の中で、ICRC代表としての任務を果したことを把握した。そして、これらの活動を基づき、1946年に上海で開催された上海会議で、ジュネーヴ条約改正に向けた各種発言をしていることを確認した。 第2に、関連文献調査について述べる。前年度に続き、ファン・フェルデン著『第二次世界大戦中の日本軍管理下民間人抑留所』(オランダ語、初出は1963年、1985年までに第4版)の閲読を進めた。オランダ人民間人抑留者の処遇に関する知見を得られ、有益であった。なお、マリアンヌ・デューバッハ・ヴィッシャー著『聴診器を携え、小舟に乗って診療へ - ボルネオにおける医学博士フィッシャー・ミリウス夫妻の事績(1928―1943)』(ドイツ語、1998年)を引き続き閲読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ICRCは、第二次大戦中の活動に関し、膨大な文書を残している。前述したように、上海、香港でICRC代表として正式に活動した2名の要員が残した文書を閲読するだけで、ほぼ1年間を要した。日本軍占領下のその他の地域(インドシナ、シンガポール、ジャワ、スマトラ、ボルネオ)では、日本側から正式承認を得られぬまま、非公式ながらICRC代表として活動した要員らに関わる文書類も、膨大であることが予想される。平成6年度中も、再度ジュネーヴに出張し、ICRCアーカイヴにて、残余の史料を閲覧しなければならないと考えている。なお、ICRCアーカイヴは閉架方式を取っている。史料請求に際して利用する目録には、件名と史料が作成された期間しか記載されているのみである。専用収納箱内の文書件数までは表記されていない。このため、リサーチに要する時間を事前に予想することができず、課題遂行が遅れる要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、研究代表者は、本年度中、夏季休暇を利用して、ジュネーヴを再訪し、ICRCアーカイヴにて、関連する残余の史料を閲覧したい。残余の史料の一つは、上海、香港それぞれに駐在していたICRC代表らが、ICRC駐日代表部と交わした交信記録である。その二は、日本側から承認を得られぬまま、非公式ながらICRC代表として活動した要員らのうち、特にシンガポール、ボルネオ地区に限定して、史料を閲覧したい。これらの地区では、日本側からの非協力的な対応が特に顕著だったからである。 第2に、研究代表者は、日本国内では、外務省外交史料館に出張し、ボルネオ地区を担当していたICRC代表マテェウス・フィッシャー博士に関する史料の閲覧研究を再開したい。 第3に、当課題採択以前に在ジュネーヴ赤十字国際委員会アーカイヴ、在ベルン・スイス連邦公文書館、在バーゼル・福音伝道団アーカイヴで蒐集した資料、および、採択以後に外務省外交史料館で蒐集した資料、ならびにJ・ファン・デュルム他編『1942-1945年蘭印における日本軍収容所図解地図』、ファン・フェルデン著『第二次世界大戦中の日本軍管理下民間人抑留所』、デューバッハ・ヴィッシャー著『聴診器を携え、小舟に乗って診療へ』について、閲読および分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当課題における主たる研究作業は、国内外のアーカイブにおいて、第一次史料を実地に閲覧調査することである。平成5年度の場合、勤務先大学の「教育職員特別研修」制度(いわゆるサバティカル研修)を援用したため、ほとんど補助金を執行する必要がなく、次年度使用が残ってしまった。それゆえ、次年度としては、当年度中にできなかった国外アーカイヴ調査を実施すべく、文献費、出張国内移動旅費、出張国内移動中宿泊費として当年度残額を使用したい。
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