2021 Fiscal Year Research-status Report
平安時代の法制度における神祇祭祀の位置づけに関する総合的研究
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20K01248
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
久禮 旦雄 京都産業大学, 法学部, 准教授 (50726990)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法制史 / 古代史 / 神道史 / 地域研究 / 法社会史 / 平安時代 / 神祇祭祀 / 延喜式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度にあたる今年度は、昨年度に引き続き、古代史料の多くが近世の書写事業により伝えられたことを踏まえ、近世及び近代の皇室の文化事業について検討を行った。その内容の一部は、後水尾天皇・明正天皇・後桜町天皇・光格天皇についての所功氏旧蔵史料について解説した「所功教授収集・寄贈の皇室関係資料解説」(橋本富太郎氏との共著)及び「補説 所功教授編纂絵図・史資料集成の解説」(『モラロジー研究』88号掲載)として発表した。 また、東アジア恠異学会編『怪異学講義 王権・信仰・いとなみ』(勉誠出版)において、平安時代の神祇祭祀制度の前提となる、飛鳥・奈良時代の律令国家成立期における神祇官・陰陽寮の役割について、東アジア全体の卜占の技術の導入と定着と、それに対応した国家の祭祀・卜占知識の独占という観点から考察した「国家統治と怪異」と、平安時代から中世にかけての卜占・怪異が中世的な「家」及び神社との関係において史料に現れていることに注目して述べた「王権と怪異」を執筆した。 また律令国家成立期の女帝である元明天皇の事績について「元明天皇のご事蹟」(『神社新報』令和4年1月1日発行)において論じている。 これらの研究により、平安時代における神祇祭祀制度の前提となる飛鳥・奈良時代の律令神祇祭祀制度と、平安時代の制度を『延喜式』『西宮記』などの古典を通じて継承した近世・近代の文化のあり方が明らかとなった。来年度はこれらの成果を踏まえて、より具体的に平安時代の神祇祭祀制度の実態について考察を深めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も新型コロナ・ウィルス感染症の影響により、図書館・資料館などの利用や現地調査が困難であったため、研究計画に遅れが生じ、修正が必要となった。そのため、前年度の成果を踏まえた近世・近代の皇室関係史料の分析を行い、また平安時代の神祇祭祀制度の前提となる古代律令国家の神祇官・陰陽寮に付いて考察を行った。今後はこの成果の上に、より具体的な平安時代の神器祭祀法制・制度について研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方策に一部変更を加える。本研究では、平安時代の祭祀を、同時代の儀式書である『儀式』『西宮記』や法制書である延喜式の分析から検討するとともに、現地の神社祭祀の調査なども行う予定であったが、昨年度は新型コロナ・ウィルス感染症の流行の影響を受けて調査を延期した。本年度調査を行うことを予定していたが見通しが不明確なため、再延期とし、まず儀式書・法制書を中心に、その内容の分析・検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウィルス感染症の影響により、研究計画が大幅に遅延し、資料調査・現地調査などが行えなかったため、本年度は研究費を使用しなかった。 来年度は、同感染症の状況に留意しつつ、資料調査・現地調査を計画する予定であるが、困難な場合、資料複写の依頼・取り寄せのサービスを利用し、翻刻・注釈などを行うことを考えている
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