2020 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Government Lawyers in Policy Implementation
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20K01256
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平田 彩子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80547810)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2025-03-31
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Keywords | 行政組織内弁護士 / 児童相談所 / 地方自治体 / インハウス / 経験的法学研究 / 弁護士研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地方自治体に常勤職員として勤務する弁護士(以下「自治体内弁護士」)が増加している。背景として、地方自治体は人的資源が減少する一方、複雑化する社会問題や多様化する市民ニーズに伴い、高い法的運用能力が求められている点が挙げられる。本研究は、自治体内弁護士が行政現場部署の法の実施・執行に及ぼす影響と役割について、理論的・経験的な研究を行うものである。研究の対象は、地方自治体の本庁および児童相談所としている。 本年度は、産休・育休により研究実施が11月下旬となった。研究開始時期は当初の想定より遅れたものの、本年度では、先行研究のレビューを通じた理論的枠組みの探索と、インタビュー調査を実施し、進捗状況は良いと評価している。先行研究のレビューでは、法社会学における弁護士研究と児童虐待政策を中心に行った。国際的に、法社会学では弁護士の役割や機能について経験的研究が充実している一方で、国家と弁護士との相互作用や関係性についての研究は乏しい。しかし、インハウス弁護士についての先行研究、また弁護士倫理に関する経験的研究を通じて、本研究の理論的枠組みの構築を始めた。同時に、児童虐待政策、および児童相談所の実務や弁護士配置に関する文献を通じて現状と課題の把握に努めた。 インタビュー調査についても実施することができた。児童相談所内弁護士や自治体内弁護士、行政職員に対するオンライン・インタビューや対面インタビュー実施した。 法と経済学の視点から、行政訴訟・行政関係の弁護士について、法と経済学会において、「行政訴訟はどのような社会的役割を果たすべきかーー法と経済学が示唆する行政法理論と立法の改変」パネリスト報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,産休・育休により研究実施は11月下旬からとなった。研究開始時期は当初の想定より遅れたものの,本年度では,先行研究のレビューを通じた理論的枠組みの探索,およびインタビュー調査を実施でき,進捗状況は良いと評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,弁護士研究,ストリートレベル・ビュロクラシー研究といった分野での文献調査を行うことで理論的枠組みの精緻化を目指す.本年度に引き続き,自治体内弁護士・児相内弁護士および行政職員に対するインタヴュー調査も継続して実施することで、経験的知見の獲得を目指す.
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Causes of Carryover |
産休・育休の取得により,研究開始が当初の4月からではなく11月からとなったこと,またコロナにより出張のインタビュー調査が実施できなかったことによる.
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Research Products
(1 results)