2020 Fiscal Year Research-status Report
German-Japanese alliance in jurisprudence: The German Basis of "Japanese Jurisprudence"
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20K01258
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
今野 元 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60444949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大串兎代夫 / 矢部貞治 / 小野清一郎 / 日本法理研究会 / カール・シュミット / オットー・ケルロイター / 東京帝国大学 / 法学部 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、大串兎代夫の国法学の考察に大きく力を割いた。その結果、大串のオットー・ケルロイターやカール・シュミットとの関係がより明らかになった。その成果は、令和2年10月17日の戦時法研究会(オンライン)「大串兎代夫――日独学問の「生物学的結合」の希求」で披露された。この討論では、同学の研究者から多くの助言を得たが、自分の研究の不十分さをも痛感させられる結果ともなった。大串研究の過程で、ドイツのカール・シュミット協会との交流が生まれ、ドイツに大串のシュミット宛書簡が保存されていることが判明した(コロナ危機明けに閲覧を申請する予定である)。加えて、大串と小野清一郎との共通の活動の場である「日本法理研究会」についても考察を深めた。なおこの科研により丸善雄松堂「矢部貞治関係文書・補遺」を購入することが出来、有り余るほどの貴重な文書が手に入った。令和3年度は、更に丸善雄松堂「矢部貞治関係文書」をも購入し、矢部貞治研究を深めたいと考えている。ただ令和2年度は、東京出張が思うようにできず、行き先も国立国会図書館に限定されたため、十分に研究できなかった面もある。研究文献を開架図書で見ることが出来ず、他の研究者と対面で議論することが出来なかった。勤務先にない法学関係の雑誌は、ごく基本的なものでも見ることが出来なかった。東京大学法学部の明治新聞雑誌文庫は数年間の工事を終えて再開館予定であり、令和3年度後半にはそこにも行って研究を進めたいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ危機による行動制限が重しとなったが、インターネットを駆使して集められるものも多数あり、相互貸借によって得られるものもあったので、研究はまずまずの進展状況であると思う。コロナ危機による新しい勤務形態で、研究により集中できたという面もある。すでに入手した史料の解析に全力を注ぐことで、コロナ危機2年目の令和3年度も研究は進められそうに思う。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ危機でも進められる研究は十分にあるが、入れない図書館・文書館もまた多いため、仕上げの作業ができない。論文の形で発表するのはまだ困難そうである。コロナ危機2年目の令和3年度も、令和2年度と同様に持てる史料の解析に全力を尽くし、令和4年度以降の発表に備えたいと思う。また令和3年度は、ミネルヴァ書房で刊行予定の人物伝『上杉愼吉』の原稿を書き進める必要がある。このため令和3年度は、上杉愼吉、大串兎代夫、イェリネック、ケルゼンの四者関係の理解を深めることに重きを置きたいと思う。
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Causes of Carryover |
令和2年度はコロナ危機のため行動の自由が利かず、出張費が少額に収まった。このためこれを無理に年度内に使い切るのではなく、後続年度に回して有効活用したいと思っている。令和4年度以降は、毎年ドイツで徹底した史料収集を行う予定であるため、そこで残余の資金を有効に活用できると信じている。ただコロナ危機が長引く場合には、令和3年度も節約して残余を出す可能性もある。
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