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2020 Fiscal Year Research-status Report

History and autonomy of law through jurisdiction and legal argumentation (Dogmatik)

Research Project

Project/Area Number 20K01259
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

守矢 健一  大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (00295677)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords裁判 / 法と社会 / 法の自律 / 法史
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的の一つは「裁判所がそもそもどのように社会に定着するのか」ということである。この点、第一に、開国以降の日本においては「裁判を受ける権利」という定式が定着している(大日本帝国憲法24条、日本国憲法32条)。この定式は、ヨーロッパの様々の定式の直訳に逆らって貫徹していることを、編纂過程の探索を通じて明らかにする研究をドイツ語で執筆した。続いて、「裁判を受ける権利」が日本では「国務請求権」として位置づけられるその仔細について、「国務請求権」なる観念の淵源であるG.イェリネクの著名な『公権論』の精密な読解を基礎として、比較法的に分析を行い邦語論文を執筆構想した。この二つの論文は相互に関連しており、脱稿もしたが、それぞれ公表を待っている。
第二に、新型コロナ感染症対策により、バホフ研究の公表は遅れることとなったが、これは見解を洗練させるためには却って有益であった。とくにバホフの理解のためには上述のG.イェリネクの議論をやや丹念に読んだことが大きい。
第三に、学生とともに、L.Gernet のあまりに著名な論文Jeux et droit を学部演習において学生とともに熟読したことは主観的には極めて大きい。
本研究の目的の第二は、Dogmatik (わたくしはこれを《法解釈構成》と訳している)の理論的学術的活動の位置づけにある。このことに関連して、第一に、近代ドイツ法のDogmatik を構築することに大きく貢献した歴史法学について、ドイツで近年Hans-Peter Haferkampの研究書Die Historische Rechtsschule, 2018 が公刊されたがこれに徹底的に批判を加えた書評論文をドイツ語で公表した。
第二に、最も地道な作業として、サヴィニの法学をサヴィニの指導教授Weisとの関係で考察している。伝記的事実を丹念に見るようにしている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

2本の論文(ドイツ語と邦語)については、やや他律的な条件なのだが、記念論集に対して執筆を求められたことが一種の強制装置となったために、わたくしは生来遅筆なのだが、むりやりに論文を書くことになり、それがこの年度については偶然にプラスに作用した。
書評論文については、現在のドイツを代表する近代法史家の作品に対する、結果的には苛烈な批判となったのだが、書評対象となった研究書の学術的手続の杜撰さを指摘することが一種の義務と感ぜられ、心理的には非常につらい仕事であった。同書の著者をよく知っていることも心理的には相当の圧迫だったが、それが執筆の駆動力にも恐らくなったであろう。
このポレーミシュな書評を補うためにも地道な作業が必要と考え、サヴィニとサヴィニ以前の法学との比較を行う作業をしている。これについても偶然、サヴィニ家についての伝記(貴書)を手に入れることができ、この点、科研研究費に非常に感謝している。
演習において関心を持つ学生とジェルネを読みえたことから学んだことも非常に大きかった。

Strategy for Future Research Activity

社会において法が確立する過程においては、手続が重要な意味を持つが、それを儀礼とも連動させながら、考察を深めていきたい。現在、一方でジェルネを踏まえたうえで、ノアイユを読み進めており、この方面のフランス社会学の古典が、いろいろの手がかりを与えてくれている。他方、これらの知見がH.L.A.Hart やKelsen,あるいはNiklas Luhmann の法理論と接合し得るか、するとすればどの局面においてか、ということを現在模索中である。この方面の、どちらかといえば理論的研究の一端を、2022年にチューリヒ大学でJohannes Liebrecht 教授と議論すると同時に、その中間的成果を、同大学の学生に向けて講演を行い、反応を見てみたい。
法の自立化および自律化過程を理解する上で、19世紀ドイツ法学は大きな意味を持つが、これについて地道な史料解読を重ねると同時に、学問観の変化に注意したい。
バホフ研究を深化させる。

Causes of Carryover

本来は、2020年度には旅費として350,000円が計上されており、これはチューリヒで2020年に開催する予定であった法制史学会に参加するために消費する計画だった。この計画は新型コロナ感染症対策のために、学会自体が2022年夏に延長になったから旅費として計上した額はそのまま次年度以降に利用したいと当初は考えていた。しかしむしろ僥倖によって、書物を購入する必要に迫られた。すなわちAdolf Ludwig von Savigny, Beitraege zu einer Geschichte der Familie von Savigny, 1919 である。これはサヴィニ家の私家版として構想執筆された書物であり、市場にもほとんど出回っていない。が良質の版がたまたま発見されたため、急遽、科研費で購入することとした(日本の大学に本書の蔵書はこれまでなかった)。本書は、サヴィニの伝記の決定版であるA.Stoll の3巻本においても一つの重要な基礎とされているので、その価値は大きい。購入に550,000円を要したが、その学術的な価値は十分にあると考えるのである。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Die Historische Rechtsschule2020

    • Author(s)
      Kenichi Moriya
    • Journal Title

      Zeitschrift fuer rechtswissenschaftliche Forschung

      Volume: 11 Pages: 474-486

    • DOI

      10.5775/1868-8098-2020-4-474

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-12-27  

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