2022 Fiscal Year Research-status Report
Legal Maxim and Codification: Ancient law, Slavic law and Modern Western Law
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20K01262
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 惠子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10229726) [Withdrawn]
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (80114437)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 法典 / 法格言 / ローマ法 / スラヴ法 / regula |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「法典化」について「体系化」との関係を再考した。「体系化」についてはしばしば、法典化が最も望ましい方法であるという前提に立脚した議論が行われている。しかし、法典による体系の固定化よりも、Institutes(権威的著書)による体系の恒常的組み換えの方が望ましく、法典化に向かうことでその可能性を捨て去ったのだ(Peter Birks)という見解は重要である。この視点に立って、法格言を考察する必要がある。(松本英実「『法学提要』の近代的書き換え――スコットランドとモンテネグロ――」法制史研究、同「コード・シヴィル」『トピック法学史』所収)。 2.コモン・ローを媒介することによって、「法典化」についても、「法格言」についても新たな理解を得ることができた(葛西康徳「比較法学史研究の一素材としての『法学提要(The Institutes)』―特に体系と普及に関して―」、「コモン・ローにおける『法学提要』の意義――その歴史と現状」法制史研究)。この問題は同時に近代法における慣習法の位置づけとも密接不可分である。 3.法典化と法格言の関係を、法の実効性担保の観点から明らかにすることについて、とくに古代についての考察において、プラトン『法律』を「妥協」の観点から考察した(Kasai, The Greeks on compromise---Before and After the judgment (verdict), with special reference to Plato’s Nomoi, Cambridge Ancient History Seminar, Bristol Classical Seminar, Oxford, Classics Centre)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「法典化」に対する視点について決定的な進展を見た。ここで得られた視点を本研究全体に及ぼすには至っていないため、「概ね順調」とした。 下記「今後の研究の推進方策」に記した各点を遂行することが必要であり、そのためにはなお時間が必要で、研究期間を延長して臨むことが必要であると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「法典化」について新たに得た視点によって、研究全体を総合する。 2.コモン・ローの法格言論の分析を精緻化する。 3.institutional writingとしてのモンテネグロ法典とその法諺の分析を行う。 4.古代法と近代法の接合を、レグラ論のみならずInstitutesの書き換え・伝統の視点から試みる。 5.故三谷惠子教授の残された研究を本プロジェクトの立場でまとめる。
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Causes of Carryover |
研究分担者のおひとりである、三谷惠子先生のご逝去により、当初計画していた出張と海外研究者との意見交換会の実施が困難となったため。 同次年度使用分は、主として海外における研究発表のため旅費として用いることを計画している。
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Research Products
(9 results)