2022 Fiscal Year Research-status Report
医療における親密な関係性の意義に関する憲法学的研究
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20K01279
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 茂樹 京都産業大学, 法学部, 教授 (00320250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療上の意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療において、本人の同意に(事実として)代わってなされる親密な関係にある者の同意の法的意義について、本人の自律性がその者固有のものであることに注意して検討を進めた。現状の医療現場では、本人が同意できないと認識される場合には、しばしば、家族等の何らかの他者による同意(意思決定)が本人の同意に代わって必要であり、かつそれにより本人の同意の代替として十分であるとされていることがうかがわれるが、その法的基礎は必ずしも明らかでなく、個人の尊重の理念からは、医療行為が本人の独自の生き方・選好に沿い、本人自身の最善の利益に合致するものになるようにすることが求められる。優生保護法によるいわゆる強制不妊手術の問題も、決して過去の問題とすべきでなく、自己決定する権利のほか、この文脈でも検討する余地がある。 先端医療の分野では、研究と実用の接着という課題に対処し、科学的な根拠が不明確な未確立の医療における患者の安全性等を確保する医療規制のあり方についての模索が続いているところ、医療上の意思決定における臨床研究と研究ではない診療とのリスク・ベネフィット評価の違いについて整理した。診療が患者の最善の利益を目指すものであるのに対し、研究は必ずしもそうではない。家族等による意思決定の「代行」の問題についても、その違いがふまえられるべきである。 また、患者・家族らと共同して医療上の意思決定にかかわる医療専門職(プロフェッション)の自律性の憲法上の位置づけについて、生殖補助医療分野を題材に検討し、学問共同体の自律性との異同や、実際にはひとつの学協会が専門職集団であるとともに研究者集団でもあるとの性質を有すること、公権力と協働して医療に対する「規制」をおこなう動向が見られること、生殖補助医療分野ではリプロダクティブ・ライツ等との関係で公権力の直接の規制を抑制する議論がみられることなどについて、考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究活動を順調に遂行できるよう立て直すことができ、新型コロナウイルス感染症対策のための業務に圧迫されたことによる研究活動の遅れをかなり取り戻すことができた。とくに、学会・研究会等において対面で意見交換できるようになったことは大きい。医療上の意思決定に関する諸問題について、いわゆる「代行決定」の問題を中心に順調に検討を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき本研究課題を順調に遂行できるよう、他の業務とのバランスをはかりたい。学会・研究会なども対面開催されるようになってきているため、状況が許せば、学会・研究会等に積極的に参加して、情報交換をおこなっていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため学会・研究会等の現地開催が少なくなり、オンラインでおこなわれる審議会の傍聴その他の調査のための出張も避けたため、旅費を使用することがなかった。次年度は学会・研究会等の現地開催が増えることが予想されるため、その他の調査を含め、情報交換のために旅費を計画的に使用していきたい。もっとも、再度の感染拡大の可能性がなくなったわけではないため、旅費使用の可能性にかかる状況を観測しつつ、研究に必要な文献(書籍等)の購入等を含め、計画的に使用していきたい。
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Research Products
(2 results)