2020 Fiscal Year Research-status Report
葬送法制の再構築――葬送に関する自己決定の実効化に向けて
Project/Area Number |
20K01284
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田近 肇 近畿大学, 法学部, 教授 (20362949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 龍也 龍谷大学, 法学部, 教授 (30196844)
片桐 直人 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (40452312)
上田 健介 近畿大学, 法務研究科, 教授 (60341046)
大石 眞 京都大学, 法学研究科, 名誉教授 (90091660)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 墓地埋葬法 / 信教の自由 / 葬送の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はもともと、(1)葬送に関する個人の自己決定の実効化のために国・地方公共団体がどのような果たすべきか、(2)葬送法制において葬祭業者など葬送に関連する事業者や宗教者・宗教法人がどのように位置づけられるべきか、(3)韓国やシンガポールなどわが国と類似した社会的条件の下におかれたアジア諸国においてどのような葬送法制・葬送政策がとられているかを、文献だけから理論的に解明するというだけではなく、現地調査・聞取り調査を通じてその現実をも明らかにすることを内容とするものである。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、地方公共団体や葬祭事業者等からの聞取り調査や、諸外国の葬送政策の現地調査・外国研究者からの聞取り調査といった、フィールドワーク的な研究については次年度以降に先送りせざるをえなかった。 また、2020年度は、対面での研究会の開催も十分に行うことができなかったが、それでも研究代表者・研究分担者相互間でオンラインで連絡を取りつつ、とくに上記の(1)および(2)について主として理論的な見地から個別に研究を行い、日本社会において非婚化・少子化によって単身の高齢者が増えて「死の個人化」が進む一方で、散骨などにもみられるように葬法の選択肢が増す中、個人にとって「死に関する自己決定」が負担となる現状を明らかにし、そのため、一部の地方公共団体がすでに行っているような「終活支援事業」が今後一層求められていくことを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄にも記載したとおり、2020年度は、研究代表者・研究分担者が個々に理論的な考察に取り組み、一定の成果を挙げることができた。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、現地調査や聞取り調査を一切行うことができなかった。そうしたフィールドワーク的な研究は、国民生活と密接にかかわる本研究が現実から遊離した的外れなものとならないためには必須の研究である。 以上が、現在までの進捗状況について「やや遅れている」とした理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降、現在まで進捗が遅れている本研究のフィールドワーク的な側面について、遅れを取り戻すことに注力したい。現時点では、新型コロナウィルスの感染拡大は直ちに収束するとは思われないが、現地調査はできずとも、例えばオンラインで研究会を開催し、そこに地方公共団体関係者や葬祭業関係者、さらには外国研究者と合同でオンライン研究会を開催するなどして、本研究の遂行に必要な意見交換・情報収集を行うことに努めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、予定していた現地調査等を行うことができなかったため、その旅費に相当する額を使用することができなかった。 次年度使用額の使用については、新型コロナウィルスの感染状況を睨みつつということになるが、可能であれば国内の現地調査・聞取り調査を行うための旅費に充てることとするほか、書籍の購入費等に充てることにしたい。
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Research Products
(10 results)