2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K01289
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
渡辺 康行 一橋大学, 大学院法学研究科, 特任教授 (30192818)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地方議会と司法審査 / 部分社会 / 千葉勝美裁判官 / 裁判官の法継続形成 / 裁判官弾劾制度 / 岡口基一裁判官 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績のなかで特記すべきは、法律時報2021年4月号から「憲法訴訟の醸成」という連載を開始したことである。この連載は、私が主催して2020年6月から開始した「憲法訴訟の実務と学説」研究会の成果を公表するものである。この研究会は、憲法訴訟の実務に精通した弁護士と憲法学者・行政法学者によって構成されているため、日本型憲法訴訟論の構築という本研究の目的を達成するための議論の場として、まさにふさわしいものである。その成果を2年に渡って連載できることは、学界および実務に対する大きな貢献となるであろう。私は、「企画趣旨」(4月号)と「地方議会の自律的権能と司法審査」(5月号)を執筆している。 また、後者の論稿の前提となる研究が、「団体の内部自治と司法権」と題して、『統治構造において司法権が果たすべき役割 第2部』(判例時報社、2021年)に収録された。 これと並んで、市川正人ほか編著『現代日本の司法』に関する書評を公表した。この書評は、同書に掲載された諸論文のなかで、千葉勝美裁判官の司法審査論をめぐる2つの論稿に特に焦点をあてて論じたものである。 さらに、北村幸也著『裁判と法律のあいだ』に関する書評も公表した。この書評は、ドイツにおける専門裁判所による法継続形成を、連邦憲法裁判所はいかに統制できるかについて研究した、若手研究者の著作を対象としたものである。 最後に、「裁判官弾劾制度少考」は、岡口基一裁判官の訴追を契機に注目を浴びている裁判官弾劾制度について、その濫用の危険性にいかに歯止めをかけるかという観点から考察したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、日本型憲法訴訟論の体系構築という研究課題にかかわる各種の論稿を公表することができた。これらは研究課題に関する論文集作成作業の一環であり、2022年度中に論文集を公刊するめどが立ったことは、2021年度における研究の重要な成果だった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、『憲法裁判の法理』(岩波書店)を公刊する予定であり、既に原稿は出版社に提出済みである。2022年度は、序章と終章を新たに執筆し、それと並んで校正作業を行う。この論文集を公刊することによって、私の日本型憲法訴訟論研究を体系化した形で世に問いたい。
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Causes of Carryover |
2021年度は、前年度から引き続きコロナ禍のため、学会・研究会がすべてオンライン開催となった。その結果、旅費を支出する必要がなく、ある程度の残額が生じた。2022年度は、論文集を公刊する予定であり、その際に索引づくりなどのために人件費を支出する必要があるため、本年度未使用額はその費用として用いるつもりである。
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Research Products
(5 results)