2020 Fiscal Year Research-status Report
司法による憲法解釈の形成において解釈方法論がもたらす作用の複眼的考察
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20K01294
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大河内 美紀 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20345838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 憲法解釈 / 違憲審査 / アメリカ憲法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ憲法学、とりわけ憲法最高裁裁判官の解釈方法論とその司法内部での影響力に焦点をあてて文献を収集しその検討を行なった。具体的には、司法行動論(司法の判断過程における裁判官の個人的影響を定量的に分析する手法)のうち、裁判官の政治的イデオロギーよりも社会的アイデンティティ等の影響力が大きいとするニール・デビンスとローレンス・バウムによる研究を手がかりに、法曹コミュニティが憲法解釈に与える影響について、主に検討した。 本研究が主たる検討対象とするクラレンス・トーマス判事は、1980年代に設立され、今日合衆国で大きな影響力を有するに至っているフェデラリスト・ソサイエティの主要なメンバーの一人であり、それに象徴される法曹コミュニティを通じて影響力を与えている可能性が考えられる。デビンス=バウムは、法曹コミュニティを通じた影響力は、ロー・クラークの人事等を通じて間接的に観察されることを指摘している。この手法は合衆国においては有効なものと考えられるが、合衆国型のロー・クラークを持たない日本に直ちに適用することはできないため、工夫が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合衆国に関する重要な文献を入手し、検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ロー・クラークを中心とした、合衆国司法における法曹コミュニティの影響について、引き続き研究を進めるとともに、クラレンス・トーマスの言説分析に着手する。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに研究を進めているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、予定されていた研究会がオンラインに変更になったことで、差額が生じている。
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