2023 Fiscal Year Research-status Report
司法による憲法解釈の形成において解釈方法論がもたらす作用の複眼的考察
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20K01294
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大河内 美紀 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20345838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原意主義 / 憲法解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
合衆国連邦最高裁が下したドブス判決(2022年)や高等教育機関の入学試験におけるアファーマティヴ・アクションをめぐる判決(2023年)では、いずれも、判決理由中に「原意」への言及がなされている。しかし、「原意」の扱いは必ずしも同一でない。2023年判決では、トーマス結果同意意見は、修正14条制定後ブラウン判決(1952年)までの解釈・実務を引用しつつ、同条の「原意」に照らしてアファーマティヴ・アクションは許容されないと論じたが、逆に、ケイガン反対意見は、修正14条の制定過程における議事録等を積極的に援用しつつ、修正14条がアファーマティヴ・アクションを容認するとの「原意」を導出している。 このように、今日では「原意」の名のもとに、解釈を支える正当化事由が複数用いられることが常態化している。23年度は、判例分析および文献検討を通じ、個別の事案において「原意」として援用されたものを具体的に明らかにするとともに、その分析・分類の作業を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、文献調査を進める一方で、国内・国際的な研究会において研究発表の機会を設け、同領域の研究者からフィードバックを得た。コロナ禍で海外調査等が実施できなかった22年度以前の研究の遅れを完全に取り戻すには至っていないものの、研究は概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、23年度に引き続き、文献検討を進めるとともに、国内・国外の研究会において研究成果を発表し、同領域の研究者からフィードバックを得る。その上で、研究成果を取りまとめ、公表する。
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Causes of Carryover |
23年度の研究自体は概ね順調に進行しているが、22年に予定していた海外調査が延期になったこと、および、オンラインによる研究会参加が増えたことから、次年度使用額が生じている。
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