2021 Fiscal Year Research-status Report
インターネット時代の「通信の秘密」と海賊版サイトブロッキングの憲法適合性
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20K01297
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大日方 信春 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (40325139)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 表現の自由 / 著作権 / 海賊版サイトブロッキング / プライバシー / 通信の秘密 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究遂行2年目にあたる本年度(2021年度)は、海賊版サイトブロッキングの憲法適合性について表現の自由の視点から論じた前年度の研究を受けて、より各論的問題への対応を検討した。 具体的には、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)によるサイト利用者のアクセス先を遮断する行為が、サイト利用者のプライバシーを侵害しないか、また、通信の秘密を侵害するものではないかについて検討している。 その成果は、第34回東京国際映画祭共催企画第11回MPAセミナーにおいて、講演「サイト・ブロッキング法制化におけるプライバシー権と通信の秘密」として公表している。現在は、同講演の内容を基にした論説を執筆している。 また、この研究遂行からはいくつかの副産物が生まれている。それは、著作権に基づく事前差止めの憲法適合性を論じた「著作者の権利に基づく差止めと表現の自由」(田村善之=山根崇邦編『知財のフロンティア』〔勁草書房、2021年〕所収)や、特殊な形態のパロディ表現の自由を検討した「サタイアあるいはウエポン型のパロディと表現の自由」(高倉成男=木下昌彦=金子敏哉編『知的財産法制と憲法的価値』(有斐閣、2022年)などである。 さらに、これらの成果を得るために、国内外の研究出張は控えざるを得なかったが、ウエブ・ミーティングにおいて研究報告・意見交換することができた。 現在は、これらの研究業績を踏まえて「知的財産権と表現の自由」をテーマとしたモノグラフィーの刊行を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直接的な研究課題についても一定の公表ができ、また研究課題を遂行する中で生まれた間接的な研究課題についても成果を公表できている。 また、国内外の研究出張はコロナ禍で多くはできなったものの、MPAセミナー等を開催するにあたり、ウエブ・ミーティングを用いることで、国内外の研究者と意見交換することもできた。 したがって、進捗状況としては「(2) おおみね順調に進展している。」に該当すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は本研究の最終年度にあたる。まずは、令和3年度に講演の形で公表した「サイト・ブロッキング法制化におけるプライバシー権と通信の秘密」を論説として公表する。 さらに、本研究課題「インターネット時代の『通信の秘密』と海賊版サイトブロッキングの憲法適合性」を多角的に論じた論説を執筆し公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延をうけ国内出張旅費が執行できなかった。 令和4年度に執行する予定である。
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