2020 Fiscal Year Research-status Report
国会の政府統制機能の再検討－フランスを手がかりとして
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20K01298
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| Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
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Principal Investigator |
岡田 信弘 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (60125292)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 議会制 / 国会の役割 / 政府統制機能 / フランス議会 / 評価の春 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
憲法で「国権の最高機関」（第41条）と位置づけられた日本の国会の存在の軽さは時の経過とともに増しているように思われる。本研究は、そうした国会の地位や役割を再検討するために遂行するものである。その際、考察の焦点を「国会の政府統制機能」に絞ることとした。国会の主たる役割は法律の制定であるが、それと並んで「政府統制機能」も重要な役割である。本研究では、このような問題意識のもとに、2008年改正後のフランス第5共和制憲法第24条の具体化とその運用を手がかりとして分析を進めることとした。第24条第1項は、改正により、「国会は、法律を議決する。国会は、政府の行為を監視し、公共政策について評価を行う。」と改められ、「政府の統制機能」が国会の役割の一つの柱と位置づけられた。このことは、フランスの上下両院（国民議会と元老院）のＨＰから容易に読み取ることができる。
研究遂行初年度に当たる令和2年度は、「国会の政府統制機能」に関わる基礎的な情報や知見を得ることに充てられた。具体的には、関連する国内外の文献を収集し、それらの読解を通して、フランス議会の「政府統制機能」の概要を理解することができた。特に、国民議会の財政委員会の場で展開されている「評価の春」が大変興味深かった。これは、財政委員会において、決算法律の提出に向けた予算監視と公共政策の評価の手段として、2017年から実施されているものである。特別報告者制度を用いている点など、特殊フランス的制度と評価せざるを得ないところもあるが、日本の国会の「政府統制機能」を再検討するために参考になる仕組みのように思われる。この仕組みの詳細と運用について明らかにすることを今後の主たる検討課題として設定することとしたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた研究計画は概ね遂行できたように思われる。フランス議会の「政府統制機能」に関する国内外の文献を収集し、それらを読み解くことを通じて、「政府統制機能」の概要についての情報を得ることができたからである。加えて、「評価の春」というフランス下院（国民議会）の興味深い仕組みに関する知見を得ることもできた。ただ、当初予定していた研究遂行者が出張して仏日の研究者にヒアリングを実施し、「議会機能全般」や「政府統制機能」に関する情報収集を行うことは、コロナ禍の影響でできなかった。今後はこのことを実施して、文献講読によって得られた知見をより深掘りすることが課題となろう。そのためには、コロナ感染の収束が不可欠の前提となる。
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| Strategy for Future Research Activity |
国内外の関連文献を更に幅広く読み解くことによって、「国会の政府統制機能」の理論的課題を明らかにするとともに、コロナ禍が終息した際には仏日の研究者や実務家に対するヒアリングを実施することによって制度の詳細と運用を明確にしたい。令和3年度はこのような課題を着実に遂行することによって、最終年度における研究成果のまとめと公表、そして具体的な制度改革の提言へとつなげてゆきたい。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍のために、当初予定していた仏日の研究者にヒアリングするための出張が不可能となったので未消化分が生じた。次年度中にコロナ感染が収束に向かった場合には、必ずヒアリングを実施したいと考えているのでその費用に組み込むことを予定している。
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Research Products
(1 results)
