2020 Fiscal Year Research-status Report
"best interest of the child" in international family law
Project/Area Number |
20K01318
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
早川 眞一郎 専修大学, 法務研究科, 教授 (40114615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子の最善利益 / 国際家族法 / ハーグ子奪取条約 / 代理懐胎 / 法的親子関係 / 子の奪い合い紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家族法においていわばマジックワードとして使われることの多い「子の最善利益」について、国際家族法の分野を念頭に置いて、研究しようとするものであり、より具体的な検討対象としては、(a)国際的な子の奪取をめぐる問題、及び、(b)国際的な生殖補助医療によって生まれる子の法的親子関係をめぐる問題を、主としてとりあげる。 今年度は、新型コロナ禍のため、予定していた外国出張を実施することができなかったので、主として、雑誌・書籍・インターネット等によって、この研究テーマに関する情報を収集し分析・検討する作業に従事した。この2つの検討対象については、国内外で、急速に研究が進展しているため、すでに集めていた情報に加えて、今年度に新たに得られた情報は多い。今年度は、今後の研究に備えてそれらの情報を咀嚼吸収して整理することが主な研究活動だった。その作業を通じて、「子の最善利益」の意味と使われ方がきわめて多様であることにあらためて驚くとともに、分析のためには何らかの基軸を設定する必要があることを痛感して、その模索を開始した。たとえば、どの「子」について最善利益を評価したり図ったりするのかという点(一方の極に、その事案に登場する具体的な一人の子があり、他方の極に、一般的・抽象的に観念される「子」があるが、そのいずれを念頭に置くのか)などについて、これまでの学説・実務の動向を探ることなどである。 なお、アウトプットとしては、関連する問題に関して、学会等での研究報告を2件行い、判例評釈の形式を取った小論文を1件公表した。そのほか、判例評釈1件と論文1件を執筆したが、それらは翌年度に公刊される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、新型コロナ禍のため、予定していた外国出張が実現できなかったので、外国現地での情報収集は果たせなかったが、書籍・雑誌・インターネット等を通じて、国内外の最新情報は相当程度収集できたので、それなりに順調な進展があったものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究にとって、外国での研究・実務の動向の調査は不可欠であり、研究申請時には、その有力な手段として、外国に出張して現地での調査・情報収集を予定していたが、新型コロナ禍のため今年度は外国出張が実現できなかった。そこで、翌年度以降は、コロナ禍が収束に向かって外国出張が可能になれば、予定していた外国での調査・情報収集を実施することにしたい。もし状況が好転せずに、それが難しいようであれば、今年度同様、書籍・雑誌・インターネット等によって、継続的に新しい情報を収集し、分析を続けることにする。 いずれにせよ、これまでの研究で、「子の最善利益」をめぐるなんらかの基軸の設定が必要であることが痛感されたので、その基軸設定のためにはなにが必要かという観点を特に重視して、研究を進めることにしたい。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナ禍の影響により、予定していた外国出張が全く実施できなかったため、旅費の支出がゼロとなり、そのため、次年度使用額が生じた。 翌年度は、コロナ禍の収束状況を見ながら、できれば旅費を利用して外国での調査研究をすすすめることとしたい。但し、状況によってはそれが難しいかもしれないので、そのような場合には、外国の書籍・雑誌を購入・入手するとともに、インターネット等を通じて海外の研究社との情報交換を行うことにしたい。
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