2021 Fiscal Year Research-status Report
Online Platform Operators and Consumers: On Regulating the Abuse of Superior Bargaining Position
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20K01328
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 秀弥 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(法学), 教授 (30364037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 賢太郎 九州大学, 法学研究院, 准教授 (20376396)
板倉 陽一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 客員主管研究員 (20815295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 独占禁止法 / 優越的地位の濫用規制 / デジタル・プラットフォーム / 公正競争 / 個人情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
グーグルやアマゾンを例とするデジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用規制の適用について、2019年9月に公正取引委員会が「ガイドライン」の案を公表した。この「ガイドライン案」は、デジタル・プラットフォーマーのサービス提供と消費者の個人情報等のやりとりを「対価性」という視点から整理している。しかし、多くの消費者の素朴な認識としては、自己の個人情報を提供する「代わりに」サービスの提供を受けるという認識にはない。そこで本研究では、この「対価性」という議論枠組みから脱却し、デジタル・プラットフォーマーと消費者との現実の関係を分析した上で、優越的地位の濫用規制が対消費者取引において適用可能か、その場合、公正競争阻害性と優越的地位をどのように認定すべきかについて研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者(林)と2名の研究分担者を中心とした共同研究として行った結果、第一に、デジタル・プラットフォーマーと消費者との関係を分析し、優越的地位の濫用規制の対消費者取引における公正競争阻害性と優越的地位の認定の在り方を一定程度解明することができた。第二に、取引の透明性・公平性を担保するために、イノベーションが急速に進展するデジタル・プラットフォーム事業について、省庁間の政策連携とエンフォースメントの在り方を学際的に検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までの研究の蓄積をベースに、支配的デジタル・プラットフォーム事業者の「自己優遇行為」について、共同研究者との協働を密にしながら、さらに考究を深める予定である。自己優遇行為とは、ある市場支配的なDPFを利用して商品役務を消費者に提供している事業者(利用事業者)が提供する商品・役務と、当該DPF事業者が自ら提供している商品役務とが競合している場合に、自己あるいは自己と利害が共通する第三者の商品役務を優先的に取り扱う一連の行為である。イギリスの競争市場庁が2017年に公表した、オンライン検索における利用者の行動バイアスに関する報告書では、消費者(利用者)は、オンライン検索を利用する際、最初に表示される検索結果に注目する傾向があり、この場合、消費者は、その検索結果が自己の関心に最もフィットしているからというよりも、単に検索結果の一番上に表示されているからという理由で、その一番上の結果をクリックする可能性があると指摘している。この背景には、消費者の現状維持バイアス(最適でないにもかかわらず、初期設定をそのままにしておくこと)や正常性バイアス(精神への過重負担を防ぐための心の安定を保つメカニズムが、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと) 、あるいは確証バイアス(反証する情報を集めず、仮説に基づく情報を鵜呑みにしたり、自らの過去の選択にむやみに従う認知バイアス)がある。このような消費者の行動バイアスに注目し、消費者サイドの行動バイアスが企業の意思決定にどのような影響を与え、それによって競争均衡がどのように変化するのかを法的に評価することは、供給者側(事業者)の健全な競争環境(能率競争)を維持する上で不可欠である。かかる見地に立った場合、行動経済学の知見を踏まえた消費者取引の適正化への対処について検討することが必要となるからである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により研究費の使用計画に狂いが生じたため。
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Research Products
(18 results)