2021 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における持続可能な医療提供体制構築と競争政策ー競争、連携、公私協働ー
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20K01330
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 吾郎 岡山大学, 法務学域, 教授 (20273956)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療提供体制 / 持続可能性 / 独占禁止法 / 競争政策 / 人口減少社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度の本研究の基礎を整備するための文献調査、ヒアリング調査を基礎に、わが国医療提供体制の現状と課題を競争政策の視点から把握したうえで、わが国法制度及び運用について、課題解決のための政策提言をまとめ、研究成果を公表した。第一に、邦文による研究成果である。本研究申請時点では、新型コロナウイルス対応が問題となっていなかったため、当初の計画においては、新型コロナウイルス対応を想定していなかったが、本研究テーマに関してわが国が直面する課題として、本研究においても、新型コロナウイルス対応に関する文献およびヒアリング調査を行った。以上の調査及び研究をふまえた研究として、新型コロナウイルス対応を契機として明確になった課題を含め、本研究テーマについての政策提言を行った研究成果(「持続可能な医療提供体制の構築と競争政策―新型コロナウイルス感染症対応を契機としてー」(2002年1月))を公表した。第二の研究成果は、新型コロナウイルス対応がもたらす課題を含みつつ、人口減少社会における競争政策の視点から、競争と連携に焦点をあてて、政策提言を行った論文("Competition and Cooperation: Building a Sustainable Healthcare Delivery System in a Society with a Declining Population")(2022)である。 以上のように、今年度は、前年度の文献およびヒアリング調査をふまえたうえでの検討結果を、邦文及び英文として研究成果を公表したことは、前年度における研究成果、すなわち、わが国法制度における考察の視点、課題の明確化をふまえたうえでの研究成果の公表であると評価することができ、研究期間において当初の計画どおり、研究を進めることができた、といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、今年度において、わが国における持続可能な医療提供体制と競争政策に関して、新型コロナウイルス対応における状況を含め、邦文及び英文として研究成果を公表したことは、前年度における研究成果、すなわち、わが国法制度における考察の視点、課題の明確化をふまえ、ヒアリング及び文献調査を経たうえでの研究成果の公表であると評価することができ、わが国における調査及び研究については、十分に進んでいるといえる。 一方、比較法的手法による研究として、オーストラリア及び米国における医療提供体制と競争政策の関係について、ヒアリング調査を行う予定であったが、コロナ禍のため、渡航することができず、若干の文献調査にとどまっている。 本研究の進捗状況を総合的にみるならば、理論的、実証的研究について、わが国に関する研究については、予定以上に進捗していると評価しうるものの、比較法的研究については、やや遅れているため、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度には、持続可能な医療提供体制と競争政策の現状と課題について、新型コロナウイルス対応を契機とした理論的、実証的研究を行い研究成果として邦文として公表し、さらに、人口減少社会における対応としての持続可能な医療提供体制と競争政策に関する研究成果を英文で公表した。今後の研究としては、比較法的研究を行う。わが国における医療提供体制の考察によって明らかとなった課題解決のための示唆を得るために、米国、オーストラリアにおける法制度の研究を行うとともに、人口減少社会における対応としての政策提言を邦文での研究成果として公表するための準備を行う。さらには、持続可能性に関して、持続可能性と競争政策の関係について、OECDによる文献を含めた文献調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
初年度におけるオーストラリアにおけるヒアリング調査および2年目での米国におけるヒアリング調査を、当初計画していたが、新型コロナウイルス感染症防止のため、渡航することができず、中止を余儀なくされたため、次年度使用が生じた。渡航が可能となり次第、従来の計画に従って、使用する予定である。
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