2023 Fiscal Year Research-status Report
働き方と社会保障の関係の再定位:基礎理論と「社会保障実践」の両面から
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20K01340
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山下 慎一 福岡大学, 法学部, 教授 (10631509)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 利用しやすい社会保障 / 生活保護基準 / 勤労の義務 / 情報提供義務 / わかりやすい社会保障 / 社会保障実線 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の主な研究成果は以下の通りである。 第1に、前年度の報告書に記載していた、多チャンネルでの社会保障情報の発信を実現させることができた。YouTubeによる発信が2件と、イラストレーターとの共作による漫画の発信が1件(現在のところ3話分を公表、以下継続)である。 第2に、前年度から継続していた「日本医事新報」誌での社会保障の権利に関する連載で、本研究課題にかかる最新の研究成果を紹介した。2023年いっぱいで無事に連載を終えることができた。連載の中では、社会保障に関する医療の現場での実感に関して、医師の先生からの投書も得ることができた。なお、当該連載は大部であることから研究成果としての表示は割愛する。 第3に、生活保護基準引下げ訴訟の継続的な追跡と社会保障法理論から見た検討である。本研究課題に強く関係する当該訴訟について、前年度に引き続き判例評釈や評釈論文を公表した(これらの中には、刊行時期の関係で2023年度の成果には計上できないものもある)。 なお、さらに1年間の研究期間の延長(2024年度末まで)を認めていただいたおかげで、本研究の集大成として、研究成果の書籍での公表が可能となった。『社会保障のトリセツ』をはじめとする本研究の成果を見てくださった出版社からオファーをいただき、本研究課題の主題である勤労の義務と社会保障の関係に正面から取り組む書籍を準備している。2023年度当初から研究を進めており、本報告書執筆時点(2024年5月)において原稿自体はほとんど完成している。これから最終的な編集上の調整に入り、2024年度半ばには刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度の報告書の進捗状況欄に記載した通り、『社会保障のトリセツ』の刊行とそれに対する社会からの反応により、本研究は当初想定していた以上の展開を見ている。 例えば、同書を見てくれた公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)より依頼を受け、2023年度の芸術家の社会保障に関する研究会に参加した(同研究会の成果は同法人のウェブサイトにアップロードされている。https://geidankyo.or.jp/business/safety.html )。その研究会において芸術家向けのセーフティネットの構築を議論する中で、こちらから研究成果を還元するだけではなく、同法人や他の研究会メンバーから国内外における芸術家の社会保障実践について多くの教示を受けることができ、その内容をさらに今後の研究成果に反映できる見込みである。 なお、2023年度の研究成果でありながら、刊行・公表時期の関係で2023年度の成果として計上できないものが多数ある。(一例として、およそ10年ごとに刊行される社会保障法学会の講座本にも、本研究課題の成果のエッセンスを示した内容を執筆した。)これらのものを含めて考えると、本研究課題は当初の想定以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、上述のとおり、本研究課題の集大成としての書籍の出版を実現させることが最も重要である。これまで、『社会保障のトリセツ』が刊行されたことにより、それに対する社会からの反応やオファーを受けることによって、社会還元を果たしつつ同時に多くの社会保障実践を収集することができた。それらを従前の研究成果と組み合わせることによって、当初の計画以上に研究が進展するというプロセスが成立した。この例を念頭に置くと、本研究課題の集大成としての書籍を出版することによって、さらに多くの社会からの反応と、それを取り込むことによるさらなる研究の発展を達成することが見込まれる。とくに当該書籍では、本研究課題の遂行の結果得られた、働き方と社会保障の関係に関する視座の抜本的な転換を主張するので、肯定的なものも否定的なものも含め広く議論が提起されるのではないかと考えている。 さらにその先では、社会保障のあり方に関わるような議論を発信し、それに対する社会からの反応を収集し、それらの反応に対するさらなる応答を発信するようなプラットフォームの構築の可能性も含め、本研究課題の一層の発展も視野に入れて研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の余波および私生活上の理由により、当該年度中に予定していた出張が実施できなかったためである。 コロナ禍が落ち着いたことに鑑み、使用計画としては、研究計画調書に記載の「社会保障実践」の調査(インタビュー調査及び出張旅費など)に費やすこと、「基礎理論」の調査資料としての書籍費、さらには本研究計画が立てた仮説を専門家に検証依頼するための研究会開催費用などに費やすことを計画している。
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[Book] 図録 法学入門2024
Author(s)
堀口 悟郎、斎藤 一久・編
Total Pages
144
Publisher
弘文堂
ISBN
978-4-335-35961-3
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