2022 Fiscal Year Research-status Report
新たな刑事司法制度の下での弁護人の性質論及び捜査構造論に関する総合的研究
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20K01348
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 慎司 京都大学, 法学研究科, 教授 (10293854)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 刑事訴訟法 / 捜査構造論 / 弁護人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成28年刑訴法等改正により導入された新制度の下での今後の弁護人の活動の在り方を理論的観点から検討することを主目的とするが、平成16年改正以降の刑事手続とりわけ裁判員制度の下での弁護人の活動やその体制の現状を分析した上で上記新制度の下での課題を検討する必要もあるため、その作業を昨年度に引き続き行った。さらに、平成28年改正以降の法改正の動き(性犯罪関連の手続法改正、刑事手続のIT化等)をも見据えた弁護活動の在り方を探るべく、これらの動きを追跡・分析する研究を進めた。 また、捜査構造論との関連では、日本刑法学会において証拠法分野の議論状況を総括する報告を行う中で、公判・証拠法と捜査・公訴との関係について考察し、その際、公判改革と捜査構造の改革を一体的に論じる言説の当否を検討した。その結果、我が国における公訴権運用の現状とそれに対する評価を踏まえると、捜査の問題と公判の問題とを一体的に論じるのではなく、むしろ捜査と公判の分離を徹底することこそが重要であり、他方で捜査手続改革はそれ自体として検討すべきであるとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
捜査構造論の一部である、捜査と公判の関係の在り方について、昨年度以来の検討を進展させて学会報告の内容に盛り込み、またその成果を近く公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
弁護人の性質論や捜査構造論の理論的検討を深化させる。近時の法改正の動きのうち、本研究に関連しうる部分を抽出し、その理論的問題点の検討を進める。また、取調べの録音録画制度の運用の現状を分析し、その在り方を考察した上で、論文として公刊する。
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Causes of Carryover |
他の業務多忙等の理由により資料収集や出張等の計画が予定通り実施できなかったこと等から、次年度使用額が生じた。今後も同様の状況が続くことが予想されるが、資料の収集や物品・書籍の購入をできる限り計画的に行うことで対処したい。
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