2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K01352
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金澤 真理 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10302283)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性的自由 / 盗撮 / 再犯防止 / 性的プライヴァシー |
Outline of Annual Research Achievements |
私的な生活領域において、電子機器等を用いて、人が他人からの注目を望まない姿態を撮影する行為については、自治体のめいわく防止条例等の規制のほかには統一的な刑事規制の対象とはなっていない。かかる行為への法規制のあり方を問う本研究の課題である、私的な秘密が守られるべき領域における盗撮等の行為の法的規制の是非、態様に関し、2020年にまず、資料の収集にとりかかった。しかし、全世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、所属研究機関が年度当初より研究活動を全面的に制限し、文献資料の収集のための図書館への立入りすら禁止されたため、大幅に研究の遂行が遅れた。そこで、ネットワークを通じたデータによる資料の収集を先行させ、諸外国の立法動向についてもアクセス可能な資料を優先して取り組むこととした。実態調査、専門的知識の共有、研究報告等についても、直接の接触を伴う活動が制限されたため、オンラインによる方法の模索へと切り替え、チャットツール等を補充的に使用することとした結果、目下の状況の下で挙げられた実績は以下のとおりである。 ・共編著として刊行した著作の中で、再犯防止を目的とする立法の意義とその影響につき批判的考察を加えた。 ・性の課題をもつ者に対応する地域、専門家等への研修、および専門機関等による取組みを紹介した(一般社団法人よりそいネットおおさかの研修、ワークショップ)。 ・性犯罪の改正問題に関する研究会(刑事司法及び少年司法に関する教育・学術研究推進センター性刑法改正研究会)において、研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように、新型コロナウィルスの感染拡大防止に対応するため、所属研究機関が研究活動を制限したため、大幅に研究の遂行が遅れた。研究活動の制限下においてはネットワークの利用や諸機関の協力を得てデータを収集し、研究再開後は徐々に対面による実態調査、研究報告等活動の幅を広げているが、地域によりまん延防止措置の適用があり、計画通りの研究が困難な状況にある。費目により、研究費の使用の偏りが出ているのもそのためである。 他方、再犯防止推進法に関する批判的検討にあたり、他領域の研究者とも幅広く意見交換をすることにより考察を深めることができたのは、コロナ禍によるオンライン会議システムの導入によるところが大きい。さらに、性刑法の改正論議をめぐる検討においては、性犯罪の保護法益に関し、性的自己決定や性的自由と称されてきたものの実態、特に「性」の内実に関して解明を進める必要があると判明した。これらの作業に順次従事することで遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
立法事実の調査、分析を引き続き進める。そのために必要な実態調査に関し、直接対面の方式による聴き取り調査が困難な場合には、非対面若しくは文書による調査に切り替えて調査を行うことも検討する。 中心的課題である性的プライヴァシーの概念を、性的自己決定ないし性的自由との関係に留意しつつ明らかにしたうえで、盗撮等の刑事規制の是非、態様について、比較法的考察を通じて検討する。 本課題研究の遂行の過程で理論、実践の両面での検討を通じて、性的プライヴァシーの概念の不明確性はもとより、行為を行う者の行為に対する認識と被害者や一般の者との受け止め方の落差が明らかになっており、性的な問題に関するコミュニケーションの課題やその共有方法についても検討すべきことが浮き彫りになっている。性の課題をもつ者に対する地域や専門機関の取組みから、必ずしも刑事規制によらなくとも、コミュニケーションの方法や教育の場を通じた伝達のあり方に工夫の余地があることが明らかになっており、今後はさらにその方法の精査に努める。 その一方で、若年齢層でも比較的容易に撮影録画が可能な機器を入手し、使用できたり、撮影データ等にアクセスすることができる状況において、規範意識を如何に醸成するかが課題となっており、適切で有効な刑事規制の方法について、引き続き考察を加える必要がある。
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Causes of Carryover |
新型ウィルス感染拡大防止の全学方針に従い、当初の計画どおりに研究を進めることができなかった。また、対面の方法で直接聴き取りを行うはずであった調査等ができなかったため、当初予定していた旅費、謝金等の支出ができなかった。これらについては、年度を超えて改めて方法等について再検討したうえで実施し、研究を遂行する予定である。
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Research Products
(2 results)