2020 Fiscal Year Research-status Report
Restructuring the conditions of successive civil execution
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20K01369
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八田 卓也 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40272413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 承継執行 / 口頭弁論終結後の承継人 / 強制執行 |
Outline of Annual Research Achievements |
執行力の主観的拡張に関する議論の再構築の前提として、既判力の主観的拡張に関する議論が、口頭弁論終結後の承継人に対する承継執行においてどのように発現するかを確認した。 具体的には、X がY に対し所有権に基づく土地明渡請求訴訟(前訴)の請求認容確定判決を受け,前訴事実審口頭弁論終結後にY がZ に同土地を譲渡して占有を移転したという事実関係を前提に,X がY に対する前訴請求認容判決を債務名義として承継執行文の付与を受けてZ に対して同土地明渡しの強制執行をかけたのに対し,Z が請求異議の訴え(後訴)を提起し,前訴事実審口頭弁論終結前のX→Y 売買等の基準時前の請求異議事由を主張した場合にそれが許されるかが問題となること,その際,Z はY の口頭弁論終結後の承継人であるため,X = Y 間の前訴確定判決の既判力はX =Z 間に拡張するが,前訴と後訴の訴訟物は,同一・先決・矛盾のいずれの関係にも立たないため,既判力の作用関係を厳密に考える立場では,既判力の拡張が空振りに終わることになること,しかし,このケースでZ による基準時前の事由の主張を封じられないとすると,Z に対して執行力が拡張するとしてX→Y 請求認容判決を債務名義としてX→Z の強制執行を可能とした趣旨を著しく減殺する反面,だからといって政策的考慮のみでこの場合のZの基準時前の請求異議事由の主張を既判力により遮断することはできないこと、を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の第1段階として予定していたことが実現できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、研究の第2段階として、XがYに対する所有権に基づく土地明渡請求認容判決を債務名義として、Yから口頭弁論終結後に土地の占有を承継したZに対して強制執行をする、という局面において、【X→Y請求権】+【承継事由】=【X→Z請求権】という図式が成立しないことがどのような意味を有するか、確認する。 次次年度以降において、ドイツにおける議論を立法過程にまでさかのぼって確認し、それらを踏まえた議論を構築する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、国内出張が制限されたため。前年度できなかった国内出張等を実施することにより次年度使用額を使用する計画である。
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