2022 Fiscal Year Research-status Report
Restructuring the conditions of successive civil execution
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20K01369
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八田 卓也 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40272413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 民事執行 / 承継執行 / 執行力の主観的拡張 / 執行力 / ドイツ民事訴訟法 |
Outline of Annual Research Achievements |
承継執行の規律について、ドイツ普通法から日本民事執行法までの沿革を明らかにし、ドイツ・日本における(1)執行力の主観的拡張の根拠、(2)執行力・既判力の主観的拡張の範囲の一致の有無、(3)承継人に対する執行力拡張の議論の仕方、(4)請求異議事由が、執行文付与の訴え・執行文付与に対する異議の訴えの審理対象となるか、といった論点についての議論状況を明らかにすることができた。その結果、ドイツ・日本の双方において【債務名義上の請求権+α=承継人に対する請求権】という等式の成立が前提とされてきたこと、ドイツ法は、承継執行の規律の構築に際し、債権者の利益と債務者承継人の利益の調整に腐心してきたこと、日本法は、一見ドイツ法の規律を承継しているように見えつつ、上記ドイツ法における債権者・債務者承継人間の利益調整のための道具立てを受継せず、その結果バランスを欠く規律になっているように見受けられること、を明らかにすることができた。また、以上を踏まえた、あるべき承継執行の解釈論として、承継事由のみで簡易付与・執行文付与の訴えによる承継執行文の付与を認めるべきであること、立法論として、承継執行文付与の訴え・承継執行文付与に対する異議の訴えを廃止した上で規律を整備するべきであること、を自身の研究の具体的帰結として導くことができた。以上は、八田卓也「口頭弁論終結後の承継人に対する執行力の拡張――既判力の作用否定説を受けた考察(1)(2・完)」民商法雑誌158巻3号550-587頁、4号919-955頁(2022年9月・11月)において公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究のほぼ全てを終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で必ずしも十分に検討できなかった点として、①ドイツ法における承継執行文の簡易付与手続における裁判所に顕著な事実・公文書・公認証文書による立証の具体的あり方、②執行力拡張の軸となる「承継」の内実、がある。これらを明らかにすることに、今後の研究としては注力したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、予定していた国内出張や海外出張が十部にできなかった。その分の国内出張や海外出張を今年度においてする計画である。
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