2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K01370
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笠原 武朗 九州大学, 法学研究院, 教授 (90346750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 形成無効 / 会社法 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、会社法上の形成無効の仕組みに関連する諸問題についての研究を進め、その一部については公表を行った。 まず、上場会社間の株式を対価とする株式交換の形成無効について検討を行った。その結果、もともと考えていた形成無効の仕組みの問題点とは別の問題として、現行法上の形成無効の仕組みと株式振替制度との関係が、解釈論としても立法論としてもきちんと整理できていないという問題に気付いた。この問題については今後も研究を継続する。 次に、以前からの継続的な研究として、全部取得条項付種類株式制度についての研究を行った。同制度については、キャッシュ・アウトの領域で組織再編類似の機能を果たしているにもかかわらず、組織再編行為について用意された形成無効の訴えに相当する仕組みがない。その前提となる株主総会決議が取り消されれば当然に無効となるものと整理されており、立法論としての是非も含めて、同制度についての分析は、組織再編行為の効力に関連する問題を考える際に、よい比較対象となる。令和2年度には、その研究の成果の一部を公表している。 さらに、令和元年会社法改正で導入された株式交付制度の効力問題についても研究を行い、その成果の一部を公表している。 最後に、令和4年度の私法学会シンポジウムの準備として、会社の類型に応じたキャッシュ・アウト法制のあり方を研究しているが、その中で、救済方法の適切さを考える際に形成無効の仕組みの是非についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本法上の問題については様々な問題を検討することができており、令和3年度も引き続き同じように研究を進めていければよい。 しかし、当初考えていたよりも、比較法的考察の材料となるべき外国法の研究に時間を割くことができず、具体的な成果物を公表することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に引き続き、会社法上の形成無効の仕組みに関する様々な問題について研究を行う。日本法については、特に、キャッシュ・アウトの救済方法、振替株式制度との関係について考察を深めたい。一方、外国法については、アメリカ法の状況について、文献資料を通じて引き続き研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、旅費を全く使うことがなかった。また、コロナ禍対応の校務のために、研究時間がかなり削られた。 次年度中には、旅費が使う機会があること、校務の軽減により研究時間が確保できることを期待する。
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Research Products
(2 results)