2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of family courts in the adult guardianship system
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20K01392
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
合田 篤子 金沢大学, 法学系, 教授 (50361241)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 後見 / ドイツ / 家庭裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、成年後見人の身上監護に関する職務範囲を探ると共に、後見制度の利用者がメリットを実感できる制度の実現に向けて、家庭裁判所による「許可制度」の発展可能性について検討を行うものである。 令和3年度は、令和2年度の分析を踏まえ、家庭裁判所の職員や成年後見に携わる機会の多い実務家からヒアリングをし、成年後見制度における家庭裁判所が果たしうる機能の可能性について検討を行う予定であったが、新型コロナ禍のため実施が困難であった。そのため、令和3年度は、まずは2023年1月から施行予定のドイツの世話法改正法(未成年後見も含む)の全体像をつかむことを目的に分析を行った。ドイツでは、世話裁判所が監督機関としてのみならず、いわゆる医療同意や自由剥奪を伴う施設収容の場面においても許可を付与するか否かを判断し、後見人(世話人)の権限を越える部分を許可という形で補完する制度を整えている。今般の法改正による影響について分析を進めたが、研究成果としては公表に至っていない。 一方、令和4年3月25日に閣議決定された「第二期成年後見制度利用促進基本計画」の分析も行った。「基本計画」では、任意後見契約の利用促進の他、家庭裁判所には適切な後見人等の選任・交代の推進や不正防止のための適切な監督、意思決定支援の観点から関係機関と連携することが期待されていることを確認できた。 令和3年度は任意後見法に関する裁判例の検討を行ったが、任意後見から法定後見への移行の問題は課題が多いことを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、令和2年度の研究分析を踏まえ、家庭裁判所の職員や成年後見に携わる機会の多い実務家からヒアリングをし、成年後見制度における家庭裁判所が果たしうる機能の可能性について検討を行う予定であった。しかしながら、令和2年度の文献研究にやや遅れが生じていたことや新型コロナウイルス禍でのヒアリングが実施できなかったことにより、研究としてやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
成年被後見人が医療(不妊化手術等も含む)、医的強制措置を受ける場合の成年後見人の同意に関して、日本では十分な法制度が整っていない。一方、ドイツ民法では、医的強制措置(ドイツ民法1906条)や施設収容(ドイツ民法1906条a)等については世話裁判所の許可を得る制度になっており、2023年から施行されるドイツ世話法改正法によって改正が予定されている。これらの規定の内容については大きな変更は予定されていないが、世話法改正法全体としては、未成年後見制度から世話制度を中心とした法体系に改正するなど、その理念等についても検討が必要である。そこで、令和4年度は、ドイツ法の許可制度に関する現行制度と改正草案に至る議論状況等も合わせて改正法と比較検討しつつ、我が国の後見制度の在り方も見据えた検討を行っていきたい。また、日本国内の状況として、「第二期成年後見制度利用促進基本計画」も参考に、今後、家庭裁判所の果たすべき役割にも着目し、分析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響でヒアリング調査や研究会に行く機会がなく旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。令和4年度は可能な限り、調査等を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)