2023 Fiscal Year Annual Research Report
The role of family courts in the adult guardianship system
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20K01392
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
合田 篤子 金沢大学, 法学系, 教授 (50361241)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 後見 / ドイツ / 家庭裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、成年後見人の身上監護に関する職務範囲を探ると共に、後見制度の利用者がメリットを実感できる制度の実現に向けて、家庭裁判所による「許可制度」の発展可能性について検討を行うものである。2023年1月施行のドイツ世話法改正法に関する文献が充実してきたことから、令和5年度もドイツのコンメンタールや論文など文献研究を中心に行った。具体的には、被世話人の生命や重大な健康侵害が生じうる医的措置(BGB1829条)や不妊化手術(BGB1830条)、被世話人の自由の剥奪を伴う収容措置(BGB1831条)や医的強制措置(BGB1832条)における世話裁判所の許可制度について分析を行った。その結果、被世話人らの生命、健康、自由といった基本権の侵害のおそれがある医療行為等について世話人が判断を迫られる場面においては、世話人が同意するための厳格かつ詳細な要件が定められている上、裁判所の許可も要件とする制度設計となっていることが確認できた。また、裁判官が許可を付与するか否かを判断する際には、医師の診断書や事案によっては鑑定の実施を要件とし、専門家の意見を踏まえた判断枠組みを設けていた。 研究期間全体を通しての研究成果としては、裁判所の許可を要件とすることは財産管理面においては、主に世話人に対する監督という側面が強いと思われるが、被世話人の生命、健康、自由といった基本権に関わるような身上監護面での許可の意義は、監督機能のみならず、世話人や裁判所がいわばチームとして被世話人の意思の実現に関わり、またその責任を負うという側面もあり、一定の意義を有するものと思われる。我が国では法制審議会での議論も開始し、法定後見制度の基本枠組み自体の変更も想定されているが、いずれの場合でも、本人の生命、健康に関わるような重大な行為については、裁判所も関与する制度を構築することに一定の意義があると考える。
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Research Products
(2 results)