2021 Fiscal Year Research-status Report
Platformerの法的責任に関する一考察ー契約責任のフロンティア
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20K01405
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三枝 健治 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80287929)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プラットフォーム提供者 / 情報化 / 契約責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの調査により、今日、取引の情報化により、一方で取引内容の情報化として、いわゆるデジタルコンテンツ取引がその重要性を増し、他方で取引方法の情報化として、プラットフォーム取引の重要性が増している事実を確認した。 本年度は、それを踏まえ、いわゆる単一のデジタル市場を域内で整備すべく規律の制定を急ぐEUで、ヨーロッパ法律協会が新しく定めたオンライン取引のモデル準則を巡る議論の整理・分析を試みた。同準則は、プラットフォーム提供者が消費者に対してどのような法的責任を負うかという現代的課題に正面から取り組んだもので、その新たな規律は、今後、我が国で同じ問題を考える際、解釈論又は立法論として、少なからず影響を与えうる。そこで、同準則の全体像を把握したうえ、関係する規律の内容について、特にその根拠に着目して詳細に検討した。 文献調査により、同準則では、プラットフォーム提供者の法的責任には、①損害賠償が課される場合と、②損害賠償にとどまらず、契約上の履行義務まで課される場合の2つがあること、また、①はプラットフォーム利用契約上の自身の義務違反を理由とした責任、②はプラットフォーム提供者が当事者となっていない利用契約上の責任をあたかも当事者であるかのように負う責任とそれぞれ位置づけられていることが明らかとなった。問題は、①についてはプラットフォーム提供者にどのような利用契約上の義務違反が考えられるか、また、②についてはプラットフォーム提供者が当事者となっていない利用契約上の責任をどうして負うかで、目下、それぞれの問題を理論的に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心的な手法である文献研究は、コロナ渦の制限を受けずに実施することができた。また、昨年度に延期となっていた学会報告も、本年度に実現し、昨年度と本年度の研究成果を公表することができた。さらに、この学会報告に備えて研究論文を幾つか公表することで、問題関心を同じくする研究者と意見交換することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査をさらに進め、関連資料の収集と分析により、当初の計画通りに課題の考察とその成果の公表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ渦により、予定していた海外出張が実現できず、次年度使用額が生じた。翌年度以降、状況を見てその実施費用として使用する予定である。
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