2020 Fiscal Year Research-status Report
Effective right protection and Clarification of Facts
Project/Area Number |
20K01407
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
出口 雅久 立命館大学, 法学部, 教授 (70237022)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 強制執行法 / 動産執行 / 財産開示 / 比例性原則 / 司法補助官 / EU口座保全差押手続規則 / 執行官 / 債権執行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、憲法上保障された債権者の「効果的な権利保護」を実現するための諸方策について国際訴訟法学会のメンバーであるアジア、ラテン・アメリカの協力研究者の支援を受けながら、欧州各国の主要な研究者と国際ワークショップをオンラインで開催し、比較法的な見地から分析を行った。 まずは研究者代表がすでに分析を開始している研究資料などに基づいて下記のような諸国の強制執行法の現状について比較検討を行った。すなわち、ミュンヘン大学法学部ヨハネス・ハーガー教授著「ドイツ強制執行法における第三者照会」、ブラジル・リオデジャネイロ大学法学部アントニオ・カブラル教授著「ブラジルにおける強制執行手続」、ギーセン大学法学部ボルフ・ディートリッヒ・ヴァルカ―教授著「ドイツ強制執行法における効果的な権利保護」、ドイツ連邦最高裁判所マルクス・ゲアライン教授著「民事執行における債権者の権利の効果的な権利保護」、ペーター・ゴットバルト著「ドイツにおける動産執行」を分析し、わが国の強制執行法との比較分析を行った。コロナ・パンデミックによりほとんどがオンラインでの研究活動となり、IT化に精通した事務局アルバイトを雇用して購入したパソコン・ソフトを利用して研究資料を整理して、分析作業を行った。また、2019年11月に京都において開催した"International Colloquium in Kyoto:“Effective Enforcement of Creditor’s Right in Civil Execution through Effective Discovery of Debtor’s Assets”に関する 国際コロキウムに参加した研究者からの資料を比較法的に解析を行い基礎資料とするとともに、この研究資料はSpringer出版社と契約し、諸外国において公表するために英文書籍として出版する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年4月以降は非常事態宣言により大学研究室の利用が制限され、国内外の出張も不可能となり、国内外の研究者・実務家との対面での共同研究が大幅に制限を受け、また大学の授業もオンラインによる授業に切り替わった後は夏休みまでかなりオンライン教育に専念せざるを得なかった。また、そのために購入を予定していたパソコン機器などが入手困難になり、さらには、オンライン環境が必ずしも整っていなかったこともあり、オンラインによる研究体制を整えるのも夏休み以降となった。夏休み以降は、とりわけ、ギーセン大学法学部Prof. Dr. Wolf-Dietrich Walkerと弁護士有志との共同研究会をオンラインで開催することができるようになり、計画していたスケジュールの半分程度は進めることはできたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、本研究会の基礎的な資料として"Effective Enforcement of Creditor’s Rights"というタイトルの英語による研究書をSpringer出版より出版する編集作業をしている。 また、ルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所プロジェクトチームのメンバー(オーストリア、スペイン、イギリス、フランス、イタリア)などの協力を得ながら欧州連合において強制執行上の債権者の効果的な権利保護のためのEU口座保全差押制度の運用について調査研究を進めていく予定である。同研究所所長ブルクハルト・ヘス教授およびライデン大学法学部バルト・クランス教授から提供されたEU口座保全差押制度に関する文献資料の分析作業を行う予定である。 さらには、日本、台湾、韓国、中国およびラテンアメリカ諸国と国際共同研究会を組織して、アジア・ラテンアメリカ・欧州強制執行法研究会として国際的な調査研究をオンラインにより企画立案していく予定である。
|
Causes of Carryover |
昨年春に発生したコロナ・パンデミックによる緊急事態宣言等により国内外における研究のための出張および外国人研究者の招聘による国際共同研究活動が大幅に制限されたため、当初計画した研究計画をかなり変更せざるを得ない状況になった結果、研究費について次年度繰越金が発生している。 2021年度後半において可能な限り対面での国際会議に参加する予定であるが、もし不可能であるときは、オンラインでの国際学会への参加や海外の研究者とのオンラインでの国際共同研究会を定期的に開催する予定である。具体的には、アジア・欧州・ラテンアメリカ強制執行法セミナーをオンラインで開催するためにオンライン会議に関する諸経費、研究事務局アルバイト、書籍資料の分析・研究のために研究費を利用する予定である。
|