2022 Fiscal Year Research-status Report
Effective right protection and Clarification of Facts
Project/Area Number |
20K01407
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
出口 雅久 立命館大学, 法学部, 教授 (70237022)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 強制執行法 / 動産執行 / 財産開示 / 比例性原則 / 司法補助官 / EU口座保全差押手続規則 / 執行官 / 債権執行 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年5月9日に京都地裁・小坂由人執行官と効果的な権利保護を担う執行官の役割についてセミナーを開催した。また5月22日には、E-Justiceに関するオンライン国際ワークショップを開催し、エルサレム大学法学部Prof.Shimon Shetreet, ボン大学法学部Prof. Foroud Shirvani, ウィーン経済大学法学部Prof.Christoph Kroenkeと効果的な権利保護とデジタル化の法的問題について協議を行った。7月はミュンヘン大学法学部労働法・労働関係法研究センター所長Prof. Volker Riebleが主宰する講演会で日本民事訴訟法の継受と伝播について報告し、その後、レーゲンスブルク大学法学部では、Prof.Peter GottwaldおよびProf.Herbert Rothとドイツ強制執行法における執行裁判所、司法補助官および執行官の役割分担について協議を行った。また8月には、「民事執行手続の実効性向上に関する研究」法と実務vol.18・商事法務1頁- 56頁により民事執行調整人に関する実務家との共同研究の成果を公表した。9月下旬から10月初旬は、フライブルク大学法学部Prof.Manfred Loewischおよびケルン大学法学部Prof. Peter Hanauとドイツ執行裁判所、司法補助官、執行官の枠割分担についてヒアリング調査を行った。その後、イタリア・ブレシア大学法学部で開催された国際訴訟法学会に参加し、最高裁の役割、ADR、訴訟費用、司法と民主主義について議論を行った。11月はアジア・ラテンアメリカ強制執行法セミナーをオンラインで開催し、裁判所中心の執行制度が依然として効果的な権利保護に資するかについて協議した。 2023年3月にルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所で執行官の比較研究について報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、過年度の2020年、2021年とは異なり、コロナ・パンデミックによる制限があったものの、漸く国際学術交流が再開されて、ドイツをはじめとする欧州における国際共同研究者との対面での国際ワークショップを開催することができたが、ウクライナ紛争や物価高騰を受けて海外渡航費が30万円から40万円と大幅に値上がりしたため、本科学研究費において当初予定していた研究プログラムをすべてこなすことはできなかった。また、私自身もワクチン接種を三回受けていたが、感染症に感染したため一時期コンディションを崩した時期があり、現在までの進捗状況としては、残念ながら全体としてやや遅れが生じている。さらに、中国や南米の研究者との交流は依然としてオンラインに限定されており、未だ対面での本格的な意見交換を開催する機会を十分には得られていないのが現状である。さらに、南米との国際学術交流については、オンラインで開催する際にもほぼ地球の裏側の諸国との通信となるため、南米各国との時差のために必ずしも全員のメンバーが揃う機会が得られなかった。その中でも2023年3月には、ルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所で開催された比較訴訟法・司法プロジェクトにおいて執行官の国際比較に関するプレゼンテーションを行うことができたことは、極めて重要な研究成果であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
国際共同研究者であるProf.Dr.Dr.h.c.Burkhard Hessは、本年度後期以降はルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所からウィーン大学法学部に移籍するが、その関係で学術交流の契機となった、ウィーン大学法学部Prof.Andreas KonecnyやProf.Christian Kollerなどからの資料提供により 2021年に新しくオーストリア執行法における「執行管財人」について研究を進めてみる予定である。同改正法は、日本の実務家との共同研究で提案した民事執行調整人の制度と類似点があり、オーストリアでの改正後の実務の動向も踏まえて検討する価値があると確信している。さらに、後期にはアジア・ラテンアメリカとの強制執行セミナーを継続し、ペルー・カトリック大学法学部Prof.Dr. Alvaro Perez Ragoneを招聘して、ラテンアメリカの強制執行法制度について研究会を開催する予定である。来年3月には、日韓民事執行法セミナーも開催し、韓国の新しい司法補助官制度について研究する予定である。
|