2020 Fiscal Year Research-status Report
非婚の複合家族における子の養育の権利義務―フランスにおける議論を参照して
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20K01409
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
白須 真理子 関西大学, 法学部, 准教授 (50609443)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複合家族 / 非婚カップル / 社会的親子 / 子の利益 / 親権 / フランス法 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、非婚の複合家族における子の養育の権利義務について、国内の議論状況を整理・分析した。より具体的には、非婚カップルの一方(「A」という。)の連れ子(「X」という。)とカップルの他方(「B」という。)との間に、「親子らしい」関係が築かれた場合に、A=Bの同居期間中、またA=Bが離別するに至った後に、B=X間にはどのような法的な権利義務が与えられうるかを検証した。ここでは、民法が定める婚姻制度や親子制度に準じた扱いとすべきかどうかという観点だけでなく、契約的規律の可能性も検証している。 第二に、フランス法におけるparantalite(注:eにはアクサンテギュが付く。)概念の検証をおこなっている。この概念は、もともと法的でない要素を含む概念を取り込むために用いられていると考えられるが、この概念の分析により、法的な部分と法的でない部分の境界とその根拠を明らかにすることができると考えている。もっとも、本研究は日仏比較研究を主眼とするが、フランス法については、新型コロナウイルス感染症の影響も受け、十分には参照できていない。ただし、入手できる範囲の資料でparantalite概念の法的位置づけを検討し、これをもって非婚の複合家族における権利義務を規律する可能性を考察している途上である。計画を変更することとなったものの、国内の議論状況の整理・分析が、今後のフランス法研究との接合的理解という点で意義を有すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はフランスにて在外研究の予定であったが、新型コロナウイルス感染症のため延期となった。在外研究の機会を利用して、文献収集やインタビューを行うことを計画していたが、それが叶わなかったため、フランス法の議論状況の把握に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きフランス法のparantalite概念の検証をおこなう。ただし、現状では資料が十分でないので、できるかぎり早期に渡仏し、資料収集をおこなったうえで研究を進める。もっとも、新型コロナウィルス感染症の影響はしばらく続くことが予想されるため、在仏の研究者の協力を仰ぎつつ、オンラインでのインタビュー等の実施も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、国内外への出張の予定が中止となったことが主な理由である。今年度は、出張が可能となれば、文献収集やインタビュー、研究会等のための出張費用として使用する。出張がなお見込めない場合には、文献の取り寄せやオンラインインタビュー等の費用(謝礼・環境整備等)として使用する。
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