2021 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Legal Study on Gender Diversity in the Boardroom in Listed Companies
Project/Area Number |
20K01411
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
本間 美奈子 久留米大学, 法学部, 教授 (00282195)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 上場会社 / 取締役 / 女性登用 / イギリス / コーポレートガバナンス・コード / 管理職 / ダイバーシティ / ステークホルダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①まず十分な文献調査、具体的には、第1に、イギリスのハンプトン・アレクサンダー・レビュー(2016年~2021年)でなされた、取締役会と上級管理職それぞれに占める女性の割合を33%以上に増やす等、FTSE350企業を対象とする勧告と、その実施状況についての毎年度のレビュー報告書を、第2に、取締役への女性登用についての調査・研究を長年実施しているクランフィールド大学の毎年度の報告書を、第3に、コーポレートガバナンス・コードの改訂についての財務報告評議会(FRC)の動向と関連する報告書について、それぞれ詳細に検討したうえで、②イギリスでの現地調査(インタビュー調査と資料収集)を実施し、事前の文献調査により明らかになった問題点・疑問点等についてのインタビューや実務家・研究者との意見交換、現地でないと入手困難と思われる資料の収集等を行い、さらには、③特にノルウェーについては、現地でないと資料の収集が困難であるため、現地調査(主として資料収集)を行う予定であった。国内の大学・研究機関においても同様の現地調査を行う予定であった。
①の文献調査については、2015年~2021年に公表された関連する組織の報告書や財務報告評議会(FRC)の報告書を含め、広範かつ横断的に読み込むことができた。その成果の1つとして、2021年9月に「イギリスの上場会社における取締役と管理職の女性を増やす試み-ハンプトン・アレクサンダー・レビュー(2016年11月)-」(久留米大学法学84号)という論稿を公表した。
しかしながら、②のイギリスでの現地調査、③のノルウェーでの現地調査および国内での現地調査については、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、実施できなかったため、次年度以降に行いたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
その理由としては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本年度予定していたイギリスでの現地調査(インタビュー調査と資料収集)、ノルウェーでの現地調査(主として資料収集)および国内での現地調査を実施することができなかったため、文献調査により明らかになった問題点や疑問点、および、実務上の運用等についての確認・意見交換ができなかったこと等が挙げられる。
また、前年度と同様、刻々と変化する感染状況に対応するため、本務校での授業形態も以前とは異なるものとなっており、その時ごとの対応・準備に相当の時間が必要とされたのみならず、学生の個別対応・学生支援にも相当の時間が必要な状態が続いた。今後はその時々の状況に柔軟に対応しつつ、自身の研究との両立に取り組んでいく所存である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度実施できなかったイギリスでの現地調査(インタビュー調査と資料収集)と国内での現地調査については、次年度に実施することとする。
それまでの間、2015年~2022年に公表されている報告書等の検討を深化させるとともに、2022年2月に FTSE Women Leaders が公表され、上位の取締役職に就任する女性を増やすための取組み、女性の上級管理職を増やすための取組みについての提言・勧告が行われているので、その分析・検討を行うとともに、関連する報告書を読み込んでいく予定である。
ノルウェーの取組みについても、クオータ制が導入された経緯等についての文献調査をさらに進め、現地調査も行う予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は、科研費の使用としては、イギリスでの現地調査(インタビュー調査と資料収集)、ノルウェーでの現地調査(主として資料収集)および国内における現地調査に相応の予算を見込んでいたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、これらの現地調査の予定をすべてキャンセルせざるを得ない状況となったことが、その理由として挙げられる。
次年度には、感染状況の収束を見極めつつ、可能な時期に、本年度実施できなかった分の現地調査(イギリス、ノルウェーおよび国内の大学・研究機関等)を行う予定である。
|