2020 Fiscal Year Research-status Report
地理的表示制度における『結びつき』の意義の再検討と、工芸品等の保護の是非
Project/Area Number |
20K01413
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
荒木 雅也 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90451666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地理的表示 / 結び付き / 結び付きの強弱論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地理的表示制度につき、以下の三つの論点につき調査、研究を行うことを目的としている。①アジアの主要国の「工芸品など」の登録をめぐる制度(判断基準、現状の問題点など)と、EU(欧州連合)とアジア主要国において頓挫した地理的表示の相互承認・保護交渉の詳細。②「結びつきの強弱論」についての欧州委員会の提言および主要な研究者の学説の詳細。③我が国が保護範囲を拡大すべきかについて、結論を明らかにする。また、「結びつきの強弱論」の意義について考えたうえで、八丁味噌地理的表示事件について論評する。以上の①~③につき、2020年度から2022年度までに研究を完成させることを目標としている。 2020年度には、主に②について、デリフィンヌ・マリービビアン(Delphine Marie-Vivien)博士の研究を主要な資料として、検討を進めた。そして、「結びつき」は主に、産品の特性の内実という観点から、生産地が産品に、1)品質と社会的評価を付与する場合、2)品質のみを付与する場合、3)社会的評価のみを付与する場合の三つに分類できるところ、基本的には3)の場合には、結びつきの程度は弱いと評価される、という結論に至った。以上の成果は、現在、出版の準備を進めている著書(単著)である、『国内外の地理的表示法制の研究』において公表する予定である(令和3年9月ごろに公刊予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、現在、『国内外の地理的表示法制の研究』(単著)の出版の準備を進めているところ、同書では、本研究課題以外の論点についても検討対象としているため、昨年度は、当初予定していなかったテーマについても、相当のエフォートを注ぎ、研究する必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の上半期は、現在、出版の準備を進めている著書(単著)である、『国内外の地理的表示法制の研究』の公刊を最優先の目標とする。 それが終わり次第、「研究実績の概要」で示した①③の論点についての研究に着手する。なお、当初予定では、今年度は欧州への短期渡航を予定していたが、現時点ではコロナ禍の早期の終息が見込めないため、今年度の欧州への渡航は断念することにしたい。
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Causes of Carryover |
昨年度は、研究テーマに関連する書籍(特に洋書)の出版が少なかったため、次年度使用額が生じた。今年度は、書籍(特に洋書)を購入する費用に充てる。
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